book
□繋いで、離して。
1ページ/1ページ
緑高/悲恋/ss
俺じゃ、ダメなんだね。
【繋いで、離して。】
自分の存在なんて、あいつの中では友達でしかない。
ただの友達で、その中で少し上なくらいだろう。
そんなの痛いくらい自分で自覚してる。
だからかもしれない。
ほんの些細なことで嬉しくなったり、悲しくなったりするのは。
「ああ、分かった。今から、迎えにいく」
また恋人か。
真ちゃんが電話してる相手は他校の女の子だ。
ここ最近で彼女が出来た真ちゃんは、なんだか遠い存在になっちゃった気がする。
まあ真ちゃん、ぶれてないしな。
俺が真ちゃんを好きだなんて知ったら、きっと幻滅するだろう。
それにしても、幸せそうに電話する真ちゃんを見て、勝手に胸が痛んだ。
「高尾、今日…」
「ああ、彼女迎えにいくんだろ?ってか、もう彼女できたんだから俺と帰らなくてもいいって」
そう笑って明るく言った。
内心、涙が出そうだ。
そんなことにももう慣れてきてしまっていることが、悲しいな。
真ちゃんは軽く笑って、ありがとうと言った。
真ちゃんのばーか。
本当は彼女にめちゃくちゃ嫉妬してるよ。
俺って女々しいかな。
「また明日、高尾」
「ん、じゃあな」
そう笑って言って、去ってしまう真ちゃん。
また今日も、緑間の背中を見つめるだけだ。
だって言えるわけない。
行かないで、なんて。
言えねぇよ。
付き合ってるって聞いたとき、幻滅されても引かれてもいいから告白しとけばよかったと後悔した。
彼女なんか、なんで作ったんだと思った。
「真ちゃん…」
目の奥が熱くなる。
想うだけなら、勝手だ。
まだあきらめるには、時間がかかるから。
でもさ、ただ1つで良いから彼女に言ってやりたい。
女の子で、普通に恋愛も出来て、隣には優しい彼氏がいて幸せそうに笑って。
全部持ってるならさ、
「1つくらい俺にちょうだい…」
ぽたりぽたり、と何かが頬をつたった。
end!!
真ちゃんが好きだから、あえて気持ちを伝えない高尾だけど、本当は伝えたい。
意味分からないのは私が一番よく分かってます←
悲恋、新鮮でした。
素敵なリクエストありがとうございました!
.