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□恋味シュガー
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ちゃんと伝えたいのに、上手く言葉に出来ない。
でも今日は何がなんでも伝えるから。



【恋味シュガー】




「センパーイ!」



今日もまた、学年や階が違うというのに爽やかな笑顔を撒き散らして、教室のドアからこちらに手を振ってくる。
呆れたようにため息をついて、そいつに近付いて軽く頭をしばく。



「だから、いちいち大声で呼ぶなばかたれ!」


「いてて…大声で呼ばなきゃセンパイ無視するじゃないっスか!」


「はいはい、で?何?」


「今日帰りどっか寄っていきません?クリスマスだし!」



そう、今日はクリスマス。
もちろん学校は冬休みに入ってる時期だけど、24日と25日の2日間は冬休み前のテストで赤点をとった奴の補修があった。
俺のクラスの奴も半分は来てる。
けど俺はとってない。
とってないのにこの目の前にいる恋人に強制連行されてしまった。
まったく人使いが荒い。



「分かった分かった、でも補修全部出来たのか?」


「出来たっスよ!全部写しましたから!」


「お前、春休みも補修決定だな」


「大丈夫っスよ!」



一体、どこがどう大丈夫なのか分かんねぇ。
春休みの補修はもうついていってやらない、なんて言うと嫌だ嫌だ言いながら抱きつこうとしたから、またしばいた。
そうこう言ってると、黄瀬は思い出したかのように、ポケットをごそごそあさる。
出てきたのは可愛い小さな袋に入っている白い四角いもの。



「はい、センパイ」


「なんだこれ」


「角砂糖っスよ」


「角砂糖?」


「上手いケーキ屋があって、レジの横に置いてあって自由に持って帰って良いらしいっスから、センパイに」



センパイ甘いの好きだから、と黄瀬は笑いながら言った。
なんか、自分でいうのもなんだけど本当、こいつは俺ばっかだな。
いつもセンパイセンパイって幸せそうに笑いながら生きてる感じ。
笑う黄瀬を見て、なんだかすごく抱き締めたくなった。
っておいおい俺!!
なんか今ものすごく乙女になってなかったか!?
何考えてんだ!
1人あたふたする俺を見て不思議そうにしてる黄瀬。



「センパイ?どうしたんスか」


「な、何もない…」


「耳、真っ赤」



いきなり黄瀬が下を向いてる俺の顔を除きこんできた。
綺麗な顔がすぐそこにあって、なんともやっぱこいつカッコいい。
黄瀬とキスできそうな距離にいることに気付いて、急いで顔を離した。
これはやばい。
心臓ばっくばく。
いつもキスするとき、こんな近くにいたっけ。
うるさい鼓動を押さえながらも、まだ顔が熱い。
ああ、もうやっぱり俺、黄瀬が好きだ。
黄瀬を見ると、じっと俺を見つめていて、目があった。



「な、に…」


「ねえセンパイ、今何考えてるんスか?」


「別に何もっ…」


「そうっスか、じゃあ行きましょう」



にこっと笑う黄瀬。
その時不意に。
なぜか誰かに言われた気がした。
今言わなくて良いのか。
誰かに、って多分、それは俺自身なんだろう。
立ち止まる俺に気付いて、黄瀬はセンパイ?、と俺を呼ぶ。
ああ今、俺すごく顔赤いしなんか泣きそう。
それでも言葉が懸命に俺の口から出ようとする。
黄瀬にかけよって、



「黄瀬っ…」


「どうしたんスか?」


「っ…好き」



黄瀬はびっくりしたように硬直してしまった。
ってか反応なし?
こいつなんか固まってるし。
やっぱ言わない方が良かった?



「センパイ…」


「え?なに」


「今それ言われると、俺さすがに我慢出来ないんスけど」



黄瀬は俺の肩に頭を置いて、よく見ると俺みたいに耳真っ赤。
なんか無性に、っていうかものすごく、恥ずかしくなった。



「ちょ、待て!今の忘れろ!」


「嫌っスよ!ってことで今から俺の家直行で」



いつもの笑顔が、今はなんとも恐ろしく見えた。
冷や汗かいてる俺の手をぎゅっと握って、嬉しそうに笑う。
黄瀬が嬉しそうなら、いっか。



「センパイ」


「ん?」


「俺も大好き」


「っ…だ、大好きまでは言ってねぇし」


「あーまたツンデレに戻る!」


「うるせぇよ!」



このあと食べた角砂糖は、なんとも甘い甘い味がした。



end!!



デレってなんですかデレって←
とりあえず笠松センパイに好きって言わせたかっただけ(^o^)
あと角砂糖ってパン屋さんの角砂糖の方が美味しいんですよ!
え?誰も聞いてない?
と、いうことで←
投票してくださった方、ありがとうございました!!


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