book

□水色太陽
1ページ/1ページ




緑高/先生×生徒パロ。



【水色太陽】



「高尾…」



誰かが呼んでる。
とても優しくて暖かい。
それから、大好きな声。


あのころの景色。
あのころの笑顔。
あのころの涙。
どんな些細なことも、しっかり覚えている。
泣いて笑った。

あのころの、恋。


ー9年前ー


キラキラ輝いていた。
まぶしくて、でも自然と笑えていた。



「こらあっ!」


「しつこいですね火神先生」


「とりあえず逃げろ逃げろ!」



高校1年生、夏。
新しく高校という学校に入学した俺たちは毎日毎日暴れまわっていた。
いたずらばっかりして怒られて、でもやっぱり楽しくてやめられないんだよな。
勉強はまあまあだけど、毎日楽しくやってるし夢見た学園ライフは最高だ。



「おわっ!」


「やっと捕まえたっ…」


「あー高尾捕まった!」


「火神っち、生徒に手出すのは駄目っスよ!」


「出してねえよ!ってか火神っちって止めろ!」



担任の火神は少し息を切らして呆れたように言う。
火神は今年入ってきた新任らしく俺たちの担任。
最初はクールかと思ってたけど、意外に意味わからないとかあるし天然だけどいろいろお世話になってる。
火神に捕まって、隅っこのほうでおしかりを受ける。
俺たちのやるいたずらは本当に子供っぽい。
ドアに黒板消し挟んで担任の頭におとすとか、イスの下に音でるクッション置いたりとか。
あ、校長先生のカツラもとったことあるな。
で、今回は勝手に立ち入り禁止の屋上でサボって見つかった。



「ったくお前らは!これで何回目だと思ってんだよ!」


「15回目くらいか?」


「いえ違いますよ青峰くん、18回目です」


「え、黒子っち覚えてんスか!」


「そんなん覚えるくらいなら勉強しろばかたれ!」


「まあまあ火神ー」


「高尾も!呼び捨てにすんな!」



呼び捨てにすんなって言っても火神先生なんて呼んでるの黒子くらいだし。
ってか火神説教長い。
言ってることは同じことばっかりなのに。
何分かすると火神はげんなりした顔でいつもの台詞をはいた。



「本当に次はないからな!」


「さっすが火神!」


「呼び捨てすんなバカ峰!」



火神はおとなしくしとけよ、と言いながら俺たち1人1人にプリントを配って、図書室の鍵を渡して行ってしまった。
つまり、補習をしとけか。



「だりいー、やんなきゃいけねえの?」


「前やらなかったら火神っち課題増やしたんスよ!」


「仕方ないですね、やりましょうか」


「あれー図書室どこだっけ?」



俺たちの出会いは春だった。
青峰、黄瀬、黒子、そして俺は同じクラスで最初は全然絡みはなかった。
むしろ他人みたいだった。
っていうかあの3人は最初から仲良かったけど、俺は別の奴らと一緒だったって感じだな。
でもバスケで意気投合して、今ではバカ4人組というあだ名までついてる。





「だああっ!、わかんねえ!!」


「青峰っち、これそんな難しい問題っスか?」


「あ?ちげえよ、携帯ゲーム」


「そっちかい!」



図書室で最初は補習をやっていたものの、やっぱり俺たちに集中という文字は理解できないな。
青峰は携帯ゲーム、黄瀬は補習プリントに落書き、黒子は本読んでるし、俺は机に突っ伏して寝そうになってる。



「そういえば、今日新しい保健の先生が来るみたいですよ」


「もしかしてあの人っスか?」



黄瀬は窓側まで行って、中庭の木を指差した。
近寄って見てみると、そこにら白衣を着て木の下の日陰で寝ているっぽい人がいた。
顔がよく見えないな。



「あれっぽいな」


「高尾見てこいよ」


「えー!めんどくせえ」


「はいはい!じゃあジャンケンで決めるっていうのはどうっスか!?」


「黄瀬くんはめんどくさい人ですね」


「ひどっ!」


「あーまあいいか、うし、じゃあやるぞ」


「負けた奴はどんな先生か見に行くことな!」


「じゃあいくっスよ!じゃーんけーん、ほい!」



黄瀬のかけ声と一緒にみんな手を出す。
1人がチョキ、3人がグー。



「はい高尾行ってこい」


「高尾くん、お願いしますね」


「ついでに名前も!」


「まじかよっ!」



なんとも恥ずかしい1人負け、そして1発負け。
俺はしぶしぶ了承して、そいつを見に行くことにした。



to be next…

.
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ