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□君とホットココア
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甘いホットココアは、まだ口をつけてない。



【君とホットココア】




「うわー…さぶっ」



リビングの窓を開けて、そこから入ってくる冷たくい空気に身震いした。
外、こんな寒いんだ。
季節は冬真っ只中。
今年は前の年に比べて、気温が低く寒い週間が続くんだと、テレビの中から聞こえる。
窓を閉めて、温かくなったこたつに入る。



「ふー、あったけー」



ぬくぬくとした気分になりながら、今日は真ちゃんが来るんだと考えてた。
真ちゃん大丈夫かな。
こんな寒い中来てくれるんなら、俺が真ちゃんの家行けばよかったな。
雪も降ってきたし。
約束の時間まであと30分はあるけど、きっともう真ちゃんは家を出たと思う。
あーすごい心配。



「そだ、ホットココア!」



こたつから抜け出して、キッチンにむかう。
棚からココアの粉末が入った袋を2個取り出して、コップにお湯と一緒に混ぜていく。
ふわっと香る甘い匂いに、思わずお腹がなった。
真ちゃんが来た頃には、熱すぎず、すんなり飲める温度になってるだろう。
ホットココアをリビングのテーブルまで運んで、またこたつに入った。



「あ、プリン」



昨日買ったプリン、冷蔵庫の中だ。
あーでもまた立ち上がるの面倒臭いな。
なんか眠くなってきたし。
あ、ダメダメ、こたつに入って寝るなって前に真ちゃんに言われたんだっけ。
でもあったけえしな。
うとうとと意識が遠くに行ってる感覚に襲われる。
鼻にくる甘い匂いにもやられて目を閉じた。
いっか、10分だけ。







「んう…」



うっすら目を開けた視界には、見慣れた天井。
鼻にくる匂いは甘い。
でもホットココアではない。
がばっと勢いよく起き上がって、寝過ぎてしまったことに気付く。
うっわ、しくじった。
起き上がると、目の前に座っている真ちゃんと目があった。



「起きたか。合鍵、使わせてもらったのだよ」


「へ…あれ、真ちゃん!?」


「なんだ驚いて」


「え、いや…ってか今何時!?」


「14時46分だ」



確か、真ちゃんと約束してた時間は1時。
と、いうことは俺、2時間半くらい寝てた!?
こたつで寝ていたせいか、額にはじんわり少し汗をかいていた。
テーブルの上に置かれてるホットココアは、まだどちらも少なくなっていない。
冷蔵庫にあったはずのプリンも手をつけていないままテーブルにあった。



「ごめん真ちゃんっ、起こしてくれて良かったのに」


「別に平気なのだよ。それに起こすのは少し勿体ない気がしてな」


「え、どゆこと?」


「何もない、気にするな」



真ちゃんは薄く笑って、ホットココアに手をつけた。
俺も手をつけて、まだかろうじで少しだけ温かかったから安心した。
ちらっと真ちゃんを見ると、持ってきたと思われるバスケの特集に目をやっていた。
ってかもしかして、



「俺が起きるまで、ホットココア飲まなかったの?」


「ああ」


「なんで?」


「お前がメールであんな事を送ってきたからだろう」



メール、といえば。
ココア淹れた後に、ホットココア淹れて待ってるから一緒に飲もうな、みたいなメールを送った気がする。
そんなことを気にしてくれていたと思うと、なんだか恥ずかしくなってこたつの中に隠れた。



「なんで隠れるのだよ」


「なんか、もう、真ちゃんかっこよすぎて大好き」


「それは良かったのだよ」



暑いのが限界になってきて、こたつから出た。
出た瞬間と同じタイミングで、真ちゃんが俺にキスをした。
出てくるとこに待ち伏せなんてずるい奴。
あとでプリン一口奪ってやる。



「真ちゃん、大好き」


「…いきなりその笑顔は反則ではないか」


「んー何がー?」


「なんでもないのだよ…」



真ちゃんの隣に座って、ぎゅっと手を繋ぐ。
真ちゃんの手はこたつに入ってたから、暖かかった。
後からもう1回、ホットココア淹れ直そう。


end!!


私がホットココア好きなだけです美味しいですから←
こたつなんて私、自分の家にないんです。
ヒーターで節約なんです誰かこたつ下さい(^o^)
投票してくださった方、ありがとうございました!

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