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□あんまりかっこよすぎないで
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例えば振り向く仕草だったり、やっぱりバスケやってる姿だったり、見てるとほんとかっこいい。
だから困っちゃう。
だってそう思ってんのは俺だけじゃないじゃん。
そりゃあ真ちゃんはあんな性格だし、なんかズレてるけど、キセキの世代の中にいただけあってバスケ超うまいし。
女子だって、影では一目置いちゃってるし。
今だって、体育の授業がバスケなのはすごい嬉しいし楽しいけど、なんか嫌だ。
「前半終わり!休憩!」
体育の先生が声を張る。
前半チームの試合が終わって、いったん休憩。
次は後半チームの試合。
俺は前半、真ちゃん後半。
だからいつもみたいにラリープレーは出来ない。
それもやだし。
ぶすくれてるのに気付いたのか、真ちゃんが近寄って聞いてきた。
「どうしたのだよ高尾、何か怒ってるのか?」
「だって女子、真ちゃんばっか見てるし」
「言っておくが、お前も十分見られているぞ」
「じゃなくてさ!みんなが真ちゃんのかっこいいとこ見ちゃうじゃんか」
それに真ちゃんがかっこいいのが俺だけじゃなくて、みんなに見られるの、なんかやだしさ。
むすっとした顔で言うと、真ちゃんは少し間を開けてから言った。
「これ頭に被せとくのだよ」
「わっ、え、これ真ちゃんのタオルじゃん」
「ああ、そうだ」
「な、なんで」
まさかの荷物持ち?
ってかさっきの俺の話はスルーしちゃうんですか緑間くん。
ピピーっと笛が鳴って、後半チームの試合が始まる合図。
わらわらと後半チームがコート内に入っていく。
真ちゃんも行こうとする。
まあいっか。
俺も真ちゃん見学しよ。
頑張れ、と言おうとしたら真ちゃんが振り向いた。
「タオル、被っとくのだよ」
「え、荷物持ちなら別に手で良いじゃん」
「いや、そうじゃなく」
「ん?」
「俺もそうやって怒って可愛く拗ねてる高尾を、他の奴に見られるのは嫌なのだよ」
ふっと笑って、また背を向けて行ってしまった。
顔の温度が一気に上がる。
今の顔こそが見られたらダメだと思い、タオルを被る。
ああもう、ばか、大好き。
【あんまりかっこよすぎないで】
end!!
真ちゃんも高尾が男女共々に見られてて、妬いてたらぐっじょぶ!
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