book

□あんまりかっこよすぎないで
1ページ/1ページ




例えば振り向く仕草だったり、やっぱりバスケやってる姿だったり、見てるとほんとかっこいい。
だから困っちゃう。
だってそう思ってんのは俺だけじゃないじゃん。
そりゃあ真ちゃんはあんな性格だし、なんかズレてるけど、キセキの世代の中にいただけあってバスケ超うまいし。
女子だって、影では一目置いちゃってるし。
今だって、体育の授業がバスケなのはすごい嬉しいし楽しいけど、なんか嫌だ。



「前半終わり!休憩!」



体育の先生が声を張る。
前半チームの試合が終わって、いったん休憩。
次は後半チームの試合。
俺は前半、真ちゃん後半。
だからいつもみたいにラリープレーは出来ない。
それもやだし。
ぶすくれてるのに気付いたのか、真ちゃんが近寄って聞いてきた。



「どうしたのだよ高尾、何か怒ってるのか?」


「だって女子、真ちゃんばっか見てるし」


「言っておくが、お前も十分見られているぞ」


「じゃなくてさ!みんなが真ちゃんのかっこいいとこ見ちゃうじゃんか」



それに真ちゃんがかっこいいのが俺だけじゃなくて、みんなに見られるの、なんかやだしさ。
むすっとした顔で言うと、真ちゃんは少し間を開けてから言った。



「これ頭に被せとくのだよ」


「わっ、え、これ真ちゃんのタオルじゃん」


「ああ、そうだ」


「な、なんで」



まさかの荷物持ち?
ってかさっきの俺の話はスルーしちゃうんですか緑間くん。
ピピーっと笛が鳴って、後半チームの試合が始まる合図。
わらわらと後半チームがコート内に入っていく。
真ちゃんも行こうとする。
まあいっか。
俺も真ちゃん見学しよ。
頑張れ、と言おうとしたら真ちゃんが振り向いた。



「タオル、被っとくのだよ」


「え、荷物持ちなら別に手で良いじゃん」


「いや、そうじゃなく」


「ん?」


「俺もそうやって怒って可愛く拗ねてる高尾を、他の奴に見られるのは嫌なのだよ」



ふっと笑って、また背を向けて行ってしまった。
顔の温度が一気に上がる。
今の顔こそが見られたらダメだと思い、タオルを被る。
ああもう、ばか、大好き。


【あんまりかっこよすぎないで】


end!!


真ちゃんも高尾が男女共々に見られてて、妬いてたらぐっじょぶ!


.
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ