book

□只今恋愛中。
1ページ/1ページ




素直に言えないのは、相手も素直じゃないから。



【只今恋愛中。】



人の表と裏は違うって言うけど、本当にそうだと思う。
まだこんな事を考えられるくらいには、俺の意識も飛んでない。
何回イったか分かんねえけど。
無駄に酸素が足りなくて、肩で呼吸をする。
まだまだ元気な目の前の奴は、俺の中でまたがっつくほどに動く。



「あ、はっ…しんちゃ、あっ」



「考え事が出来るくらい、まだ余裕そうだな」


「はっあ、っふ…んなわけ、ねえだろっ…!」



ずんっと突き上げられる。
俺の腰をがっちり掴んで、そのまま出し入れを繰り返す。
さすがにキツい。
視界がぼやける中で、真ちゃんの顔を見ると、なんか悲しそうな顔してた。






「なあ真ちゃん」


「なんだ」


「真ちゃんはさ、俺との関係どう思ってんの?」



シャワーや後処理が終わって、ベッドに寝ながら聞いてみた。
ぶっちゃけさ、俺たち付き合ってるわけじゃないし。
お互いの欲求不満を解消するための、簡単に言っちゃえばセフレなわけじゃん。
そりゃ俺は真ちゃんのことは好きだけど。
それにたぶん俺の好きは恋愛感情かもしれない。



「どうって言うと、ただのセフレの関係だな」


「まあ、だよな」


「だが厳密に言うと、お前の気持ちが入っていなくて嫌いだな」


「え、どゆこと?」


「…自分で考えろ」



そう言ってベッドに入ってきて電気を消した。
またこの顔だ。
さっきも見た、どことなく悲しそうな顔。
はっきり言ってくれない。
真ちゃんはいつも何か言いたげで、でもそれを口には出さない。
同じベッドに寝てるのに、いつも背を向けられる。
なんだか、遠い。
いや、実際そうかも。
付き合ってるわけじゃないし、お互いに恋愛感情としての好きがあるかも分かんねえし、ましてや真ちゃんにそんな感情はこれっぽっちもないだろう。



「真ちゃん、寝た?」



返事は返ってこない。
もう寝ちゃったのか。
暗くなった部屋で、隣には真ちゃんがいるのに、なんでか怖い。
いつから始まったっけ。
誘ったのは俺だった。
冗談半分だったんだけど、本気にされちゃったし。
拒まないのもどうよ。
真ちゃんなら冗談だと思って拒むと思ってた。
だからいつの間にか、こんなに好きになってた。
無意識に言葉が口から出る。



「俺から言い出すべきか…」



いつも言いたげで言えないことって別れ話な気がする。
でも言えないなら、俺が言うしかない。
だってそうすれば、真ちゃんも普通に恋愛できるし。
じゃあ俺たちは?
今までみたいに、真ちゃんは普通に笑ってくれる?
俺はまた真ちゃんと一緒に楽しくバスケが出来る?
誘わなかった方が正解なんて、当然分かってる。
でも、それでも、



「離れるのは、嫌だ…」



我慢して込み上げてきた何かが、一気にこぼれだす。
久しぶりに泣いた。
泣いてどうにかなるわけじゃないけど、どうしても今は止まらなかった。



「なぜそれを、俺の前ではそうやって素直に言わないんだ」



横から聞こえた声に、一瞬体が止まった。
真ちゃんは、俺に背を向けたままだった。



「俺は、高尾と離れたいと思ったことはない」


「しん、ちゃん…」


「だがお前はそうじゃないと思っていた。だからさっきああ言った」



お前の気持ちが入っていなくて嫌いだな。
そう言った真ちゃんの顔が悲しそうだったのが、なんでか分かる気がした。
やっとこっちを向いてくれた真ちゃん。
でも今、俺すげえ泣き顔だから見ないでほしかった。
真ちゃんはふっと笑って俺の目に指をそわせた。
長くて綺麗な指が俺の目を優しくこする。



「涙でぐしゃぐしゃだぞ」


「だっ、て…」


「俺は高尾が好きなのだよ」


「っ…俺も好き」



ぎゅっと抱き締めてくれた腕はすごく暖かかった。


end!!


何を書きたかったか分からずにとりあえず書いてた←
いや、ただセフレっていう言葉を入れたかった(^o^)


.
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ