□恋をしてしまいました…。(前編)
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「…貴方と甘寧殿は、いつも一緒に居るような感じですから、貴方の想い、きっと甘寧殿に届く事でしょう…。」
「え!?いや、そんな訳…!!////」
「でも私と周泰殿、全くと言っていいほど関わっていないで居た、ずっとずっと……。それなのに、私は周泰殿の事……。」
諸葛亮は誤魔化そうとしているのか、少し笑うが、その笑みは切なげな笑みだった。綾統はその顔を見て、少し目を見開かせた。
「…良くない…ですよね。私の……自分の判断で、この人はいい人だ、この人は感じ悪いな、と分けるなんて……。」
「何言ってんだ諸葛亮殿、人間最初は人を疑う(確かめる)のが基本だし、あんたも人の事を確かめ続けて、そしてそう判断してるじゃないですか!貴方の場合、蜀の武将である姜維の事を調べて、彼を自分の後継者として迎え入れたりしたりとかさぁ、あんたは本当に良い判断をしているじゃないですか!…っていうか諸葛亮殿、周泰殿の事、どう判断してんすか?」
思わず立ち上がり、諸葛亮の傍にさらに寄った綾統の質問に、諸葛亮は彼と目を合わせ、答えた。
「…主に忠誠を誓い、守っているところ、無口で無表情、でも優しいとこ…とか…。」
「やっぱり諸葛亮殿の判断は当たってますよ、彼、本当にそういう感じですよ?」
「…でも……。」
目を合わせていた諸葛亮だったが、再び下を向いてしまった。
「周泰殿、普通の恋愛をしたい方でしょう…?男同士ではなく、女性と愛し合える、そういう感じの……そう思うと、私の恋など絶対叶う事など出来ませんよ。仮にそうでなくても、先程言ったように、私は周泰殿と全く関わった事など無い。彼は護衛であるが故、孫権殿といつも一緒にいらっしゃる。きっと、周泰殿は、孫権殿の方が……。」
さらに落ち込む諸葛亮。もう完全に、綾統とは目も合わせずに話している。

……普段なら、もっと積極的な諸葛亮殿だが……、
恋というのは、これほどまでに、人を追い込ませる、なんとも切ない想いであったのだろうか……。

「諸葛亮さん……いつもの積極的なあんたになったらどうですか。なんか、今日の諸葛亮さん、寧ろ消極的ですよ。こないだみたいな、周泰殿をからかったり(?)して、何とかして想いを伝えればいいじゃないですか。」
「……ですが、それはきっと、周泰殿にとっては迷惑な事でしょう、孫策殿達の事で、結構疲れていらっしゃるでしょうから…。」
「…諸葛亮殿……。」
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