物語

□第七話「過去」
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「………で、退院しても、まだ暫く安静……というわけか。」
「はい。」

この前の戦いで傷を負った諸葛亮は、漸く退院した。だが医師に言われ、ベッドの上で安静していた。
一度傷口が開いてしまったからだろう。

「……車椅子……用意しておかないとな。」
「はい?」
「いや、女カが、話があるという事で、ある場所に来て欲しいと言われて……。」
「…?」

その場所とは………。



*



「……此処、私達が……!!」

着いた場所は、外でとして、初めて生贄軍全員が揃った場所だった。

既に他の皆は先に来ていた。

「…あ、諸葛亮、大丈夫か?」
「あ、はい。」
「…諸葛亮……もう無理すんなよ。」
「…………。」

周りを見ると、会った事の無い人達も来ていた。

「……?」

〔……漸く集まったか、人間というのは随分遅いものだ。〕

「!女カ!!いくらお前が女神だからって、俺達人間をそんな風に言うな!!(怒」

しかし、甘寧が叫ぶも、女カは姿を現さない。

「……女神さん、いるんだろ?なんで姿を現さないんだ?」

尋ねた夏候淵の質問に答えるように、突然彼の目の前に光の球が出た。

「!?」
〔私は女神……神というのは、本来は下界の者達に姿を見せない。〕
「…そうだけど。」
〔それより、お前達無双武将らに話する為に、此処に来てもらった。〕
「…無双武将?」
〔お前達を差している。お前達は無双乱舞というものを使えるからな。我々はお前達をそう呼んでいる。〕
「だって…武将…たって、俺達、もうあの三國時代の奴らではない。今の時代で生きる……普通の会社員とか、普通の主婦とか、とにかく、普通の人間……。」
〔ならば何故お前達は、無双乱舞というものを使える?そして、何故それぞれの武器をも扱える?〕
「…無双乱舞なんて……ゲー……」
〔確かにそうだ、お前達の持つものなど、本当にお前達で言うとテレビなどでしか聞いた事が無いだろう。しかし、だ。〕

光が夏候淵の傍から離れると、その光は大きくなり、彼ら全員包み込んだ。甘寧のように驚きのあまり、思わず崩れるように座り込んでしまう者もいれば、左慈のようにまるで予測してたように、何も動じずにいる者、そして孫策のようにうろたえる者もいた。

光が小さくなると、周りは見たことのない、怪しい煙が地面から出ていて、地面も空も、建物も紫で、とにかく明らかに人の住めるような場所ではない所に、皆は立っていた。

〔此処で嘗て、お前達先祖はある者と戦っていた。戦国時代の日本人と共に。〕
「え……?」
〔その者は嘗て、仙界の住人であった。しかしその者はあまりの強さにより、我々で奴を封じていた。だが、其処に妖魔が現れ、奴を逃がしてしまった。〕
「……?……何処だ、女カ!!」

孫権が呼び叫んでも、降りない女カは、話しつづけた。

〔奴は二度も倒され、そして後に現れた大蛇をも倒した、お前達の先祖、三國武将。奴が武将らの暮らす世界と違う、異世界を創り上げ、その武将らと戦ったのは、己の生に幕を閉じらせる事の出来る者を求めていた。その者を倒した武将達こそ、お前達の先祖達だ。〕
「……けど女カちゃん、そんなお話をして、今のアタシたちとどう関係するの?」

女カが何処にいるのか分からないので、キョロキョロと辺りを見渡し、彼女を探しながら尋ねる小喬。

〔…武将達によって倒された魔王、そして奴の腹心の妖魔。しかし奴らの魂は、実は彷徨い続けていたのだ。〕
『…………。』




「……へ?」

女カの言葉に、声を上げた張飛。

「…彷徨ってる…?我々人間達の暮らす世界でか?…何故だ、仙界の者が、人間界で彷徨う?」
〔曹操のその疑問の通り、奴らもまた、下界にいる事など許されない。しかし、〕
「仙界から逃げ、そして人間達を戦わせたなど、散々罪を重ねた者達が、今更戻れない……と言いたいのか。」
〔そのとおりだ、呂布。〕
「……。」
「そして魂となり、仙界に戻ることも、地獄も天国もいけず、仕方ないから下界で彷徨う……って事ですか…?」
〔…諸葛亮の言った事も、正にその通りだ。何だ人間達、賢いな。〕
「あまり師匠を舐めたりしないで下さい、いくら神様といえども。」
〔………。〕
「……で、その魂達は……?」

曹丕が静かに尋ねると、女カは答えた。

同時に辺りが再び光り出した。
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