□幼児化A
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「……すまなかった、権、綾統。俺が倉庫の鍵を閉めたばかりに、周泰は……。」
「……父上のせいではありません。」
「そうですよ大殿、本当に悪いのは、俺ですし……。」
二人が周泰の事で落ち込んでいると、孫権が、「少し、一人にさせてください。」と言い、その場から去った。
孫堅の部屋で、一人残った綾統も、「俺もこれで…。」と、部屋から出て行こうとしたが…

「…綾統、甘寧の事だが……。」「…!」
「何かあったのか、山賊との戦いで、お前に伝えてくれと頼まれたんだが……。」
孫堅の質問に、綾統は彼の方を向くと…
「…あいつは、周泰がやばい状態になっていたにも関わらず、急用思い出したからっつって……、」「急用?では何故俺の所に…?」
「は?」
孫堅の言葉に、綾統は首を傾げた。
そういえば、この方の口から……
「……甘寧が、俺に伝えるよう頼まれたとか言ってましたよね。」「?」
「どういうことですか?」
綾統の質問に、孫堅はあぁ、と思い出し、
「俺が山賊と戦ってたとき、甘寧が馬を全力疾走させて来て………、」



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「ん?どうした甘寧、援軍か?」
「殿!!アンタは今すぐ城に戻ってくだせぃ!!」「は?」
「そんでもって、アンタが鍵掛けた倉庫のとこに出来るだけ大急ぎで行ってくだせぃ!!」
「……どういうことだ?」
「閂や鍵のせいで、周泰が閉じ込められちまったんだ!!」
「……は…!?」
「しかも綾統によると、なんか訳分からず、いつの間にかガキに戻っちまったようでさ!とにかく今は山賊と戦ってる暇はありませんよ!!」
「周泰が子供に…!?よく分からぬが、倉庫の中に彼が閉じ込められてしまったことは本当だな?…わかった、すぐ戻って……」
「貴様!!簡単に逃がしてたまるか!!」
「!!」
山賊の一人が、剣を振り上げて孫堅に襲い掛かる。だがそれを、甘寧は愛刀で受け止めた。
「甘寧!!」
「…ほんとに簡単には全員を逃がしてくれねーようだな…、殿だけでも早く戻ってくれ!こいつらは俺が代わりに喧嘩の相手になる!!」
「な…甘寧!?」
「おい、そこの兵士、他の皆に孫堅殿は理由あって城に戻ったっつっといてくれ!!」
「え、は、はい!!」
「あと、殿、綾統にこう伝えといてくれませんか。」「……!?」

「勘違いさせるようなことや、あんな事言っちまって、悪かった…ってな。」

孫堅に甘寧の言葉を綾統に伝えるよう託すと、目の前の山賊をぶっ飛ばし、行ってしまった……

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「………甘寧が……そんな事を……。」
「お前がどんな事言われたのか知らぬが、甘寧は素直ではないからな…、相手にその場で謝るなんて事、できないようだ。」
「だから俺越しに、甘寧はお前に謝ったんだな。」と孫堅が少し苦笑する中、綾統は殿の顔を見て、黙り込んでしまった……。
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