□水賊(前編)
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(......まずいな......。)
(まさか、水賊ごときに囚われようとは...。)
(何という屈辱だ......。)
三国の殿三人は、水賊に腕や両手首を縛られていながらそう思っていた。
ふと、劉備が呟く。
「...他の皆は、無事だろうか...。」
「安心しな。他の奴らには今ん所手を出してねー。もちろん、お前らも見ての通り、ここにいる奴らにもな。」
呟いた劉備に、水賊の男は嘲笑いながら言う。
孫堅の部屋で囚われているのは、殿三人の他に、袁紹、呂蒙、姜維、孫家兄弟、甘寧である。
「他のうるさそうな武将供は牢屋、女供は倉庫、軍師供も牢屋、そして、小さくなった奴らは、他の部屋...。」
「倉庫...、あそこの倉庫とは言わぬだろうな。」
孫権の言葉の意味を理解した男は、さらに笑う。
「あんな寒いところへ行きたくはねーよ!ったく、何でまたあんな所に...。」
「それより、ここには居ない、雲長や翼徳、ホウ統達はどうした...。」
「蜀ではそいつらを、魏では夏候惇っつう奴と除晃とかいう奴、そして、曹丕を人質に、その他の武将供を大人しくさせている。」
「何、人質だと!?それも...、夏候惇に、除晃、丕を!?」
「ははは、ちょっとお前きもいな、夏候惇を愛してんだろ?男同士のくせに。」
「(グサァッ!!)...と、とにかく、夏候惇が人質にとられていようとは...、わしが夏候惇がいなくば何も出来んと分かっていたな...(ズゥーンッ」
「ちょっ、ここで落ち込むなよ、曹操!!」
「ふ、負のオーラか?この重み(汗」
「ふん、変な殿だな。」
「てめー、人のこと言えんのかよ。」「!」
突如、甘寧が口を押さえられてた布をずらし、男に喋りだす。
「てめーら、確か昔よぉ、無理矢理水賊の一員にさせた幼平を、まだ当時餓鬼だったそいつを、ひどい目に遭わせたんだってな。」
「......。」
「同じく幼かった俺は、仲間から聞いた。まだ小さかったのに、暴力ふったんだってな。」
「え...!?」
「それだけじゃねー、倉庫に閉じ込めたり、しかも、小っちぇー体を無理矢理抱いたんだってな!」
「はぁ、抱いた!?周泰を!?」
周泰の過去のことを知らなかった人達は驚いているが、甘寧はそれに構わず喋り続ける。
「あん時の頭も、男を好んでたじゃねーか。あん時居たてめーらも、嫌がる幼平を抱きやがって!あんな事され続けりゃあ、孫策殿達に降るのも仕方ねーと思うぜ!?まぁ、孫策殿達もおれも、幼平に対する純情じゃない愛情を注いでるから、うんざりされてっけどな(汗」
「(自覚を持ってたのか(汗)甘寧、知ってたのか。」
「だから孫堅殿、水賊やってたってのもあるし、さっきも言ったように、仲間からその噂を聞いたってのもある。」
「まぁ、あの時の怯えてた周泰、可愛かったからなぁ、うっかり欲しくなっちまって。」
「...てめー、もしかして、諸葛亮を小さくさせたのは、軍師だから幼くさせれば、何も出来ないと思ったから小さくさせて、幼平の場合は......、またその時のように、抱く。......つもりか...?」
睨む甘寧に、男は冷笑し、
「......何が悪い?そういう事して...。」
「な......!!」
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