キセキの軌跡と奇跡
□第8Q
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帰り道
『今日はいろいろあったね〜』
「ああ、もうマジ疲れたわ」
ゆかと火神は帰り道が同じということで一緒に帰路についていた
「…………」
隣で歩く松村からは、いつもと様子が違うのが感じられる。
原因は先ほどの黄瀬の言葉からだ
笑って話しもする
いつもと変わらない様子を振る舞っているんだろうが、それが空回りしていて見ていられない。
時間も経ち、暗い夜道を歩く二人
「ちょっと、そこ寄ってかねーか?」
言われた先を見れば
始めて会ったときと同じストバスコート
『またバスケするの?
ホント大我も好きだね』
そう言った松村は
何気なく言ったのだろう
だけど自分でも後から気づいたようだ
そんなに、オレは似てるのか?
まだソイツは、オマエを掴んで離さねぇのか?
俯いてしまった松村
酷く虚ろなその顔は
噛み締め、自分を責めるような顔をしている
もう二度とそんな顔を見たくねぇって思ったのに
またその顔…
ギュッ
『!?た…大我っ…?』
大きな腕がその細い腰に回される
気づけば小さな身体を抱きしめていた