非日常的な毎日

□8.素直になんて………ムリ
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下校時間


今日も今日とて、騒がしくも楽しい一日を終える。


昇降口で靴を履き替え
携帯に目をやると丁度いい時間。


今日はバイトだ。




「ってなわけで今日、あたしバイトなんだ」




「奇遇だな、俺もだ」




「わっ!ちょうどいいじゃん
賄い出んの?」





「居酒屋だからな。
バイトの日は飯はいい」





それを聞いてますます好都合だと
小さくガッツポーズを作る。


これで食品が浮く!


生活に余裕ができる!



そんなあたしの考えがまたわかったのか、彼は小さく笑った




「じゃ、あたしこっちだから!」



「ユカ」



「ん?」




バイトへ向かうため
別方向へと足を向ける

呼びかけられた声に振り返れば
いつもより穏やかなあいつの顔



トクン、と鼓動が鳴った



「ありがとな。
昼飯うまかったぜ」



「…………あったりまえ!
あたしが作ったんだから」





夕日を背に笑う彼に、目を奪われたのはきっと気のせい。


優しく笑う彼に、鼓動が鳴ったのもきっと気のせい。




「じゃあ今日帰ったら俺からのご褒美を「いらん」」



「…………」




「一緒に風呂「入らん!!」」




「…………」



絶対気のせいだ。
こんなド変態に一瞬でも惹かれるなんてことがあってたまるか。
アリエナイ。



あらゆる変態思考の提案を
全て却下し、お互いバイトへと向かった。
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