それでも、ずっと好き
□高鳴る
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新しい人生。
不思議な縁も有るものだが、本当に求めるものは、まだまだ見えない。
『高鳴る』
なかなかの晴天に恵まれた今日は高校の入学式。我はつい先程新入生代表で挨拶をした。普段あまり緊張などしないのだが、やはり大勢の前で話をするのは好きではない。そして我の話など聞く筈も無く、入学式であると言うのに早々に頭が揺れている輩が居る。その頭を小突いてやりたい。
式が終わり、混雑する廊下を過ぎて新しい教室に入ると各々自分の席を探し始める。まだ周りとの会話は無く静かだ。
我の席は窓を隣にしている。日輪の光が良く当たる良い席だった。
前には金髪で長身の女生徒が腰を降ろした。日本人離れした髪色や体型故式の最中には注目を集めていたが、今もクラスメートは男女関係無く彼女をチラチラと眺めている。さぞかし鬱陶しかろう。
我は興味などとは違った意味で金髪の女を眺めている。と言うより、目を逸らせずにいる。
初対面だがそうではない。
この人間はまさしく、上杉の忍だ。