それでも、ずっと好き

□惚れる
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空は青く日輪が輝き、海は穏やかで微かな風が部屋を通り抜ける中、元親の腕に抱かれて鼓動を感じながら微睡むのが、一番の贅沢だと我は思う。元親と共に居ると言う事以外に何も考えず、感じない。至福の時、とはこの事なのだろう。



「元就、昼寝するか?また仕事で徹夜でもしたんだろ」

「仕方無かろう…そなたとの時間を作る為だ」


元親は我を抱いたまま横になり、顔中に口付けて「ありがとな」と囁いた。その様にされては緊張して眠れぬとも思ったが、元親の温かさにはかなわず、そのまま寝入ってしまった。







数刻が過ぎて二人して眠りこけて居たのを家臣に起こされ、宴の席についた。海賊達の宴は本当に騒がしく、だが全く遠慮の無いその態度に我が家臣達も慣れたらしく随分と砕けた様子で共に酒を酌み交わして居る。我自身は酒は好かぬが、声を上げて笑う者、ひたすらに酒を呷る者、飲み比べを始める者など皆が各々自由に楽しむこともまた良いと思うようになったのは、言うまでも無く元親の影響だ。


当の元親も子分共と飲み比べをしている。元親は中四国一の酒豪なのだろう。この部屋の誰も彼には勝てぬのだ。



そして、顔色一つ変えず豪気に笑う元親に、我はいつも胸の高鳴りを感じるのだった。それは勿論今宵も例外では無い。




 

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