平凡でいたい今日この頃
□ACT.4
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「テメーら俺様に迷惑かけるな、近寄るな…球技大会スタートだ!」
ヘボ会長の適当過ぎる開催宣言とともにステージの後ろや脇から風船、鳩、花火、ピストルの音等による盛大なパフォーマンスで開会式が終了した。
あの濃い日から何週間か経った今日、待ちに待った球技大会が行われようとしていた。
勿論いけ好かない幹部達も参加し、会長の姿を最前列で見ている。一応俺も隊長として、その場にいてボーッと生徒会を眺めている。
因みに副会長がルール説明、会計が司会、獅葵は注意事項を受け持っており、獅葵の顔をチラッと見てみるとかなりげんなりとした表情をしていた。
結局あれからも会長達は仕事をしてくれず、獅葵に頼んで仕事を俺の部屋に持ってきてもらい手伝ったが、略(ほぼ)二人で仕事をしたようだ。
「冬真今日は頑張ろうな!」
俺の隣で春日と江崎と一緒にはしゃぎながら俺に言葉をかける馬鹿。
「…僕も楽しみだよ。」
俺は球技大会ではなく、これからの出来事の方で顔が緩んでしまった。
「それじゃーみんな所定の場所に移動ね〜!」
「はーい騒がず急いでね〜。」
司会の声が合図で生徒らがぞろぞろと移動を始めた。
サッカーは第1グランド、バスケは第1体育館、バレーは第2体育館、卓球は第3体育館と別れている。
まずは時間を確かめることにするか。
トーナメント表と対戦時間はそれぞれの会場に張り出されているので、どちらにしろ選手達は一度会場へと移動しなくてはならない。
「冬真一緒に行こうぜ?」
同じ種目である捺君が声をかけてきた。
捺君の後ろには卓球を選択した隊員達も居て、言ってはいないが目線で一緒に行きたいと訴えかけていた。
「いいですよ。みんなで行きましょうか。」
愛想笑いしたあと、隊員達を連れて一番遠い会場である第3体育館へ歩こうとしたとき
「あっ!冬真俺も一緒に行く。」
今まで信者と騒いでて俺の存在を気付かなかった癖に最悪なタイミングで声をかけてきた馬鹿。
ホント目敏い奴め。
「日野丞君は会場違うでしょ。また後でね。」
流石空気読めない奴。
俺の後ろにいる親衛隊の奴がいるのにも関わらず俺に声をかけるとは。
お陰で親衛隊の奴らは目をぎらつかせている。
「えーなんでだよっ!俺の会場まで一緒について来いよな!」
馬鹿は地団駄を踏んだ後、俺の腕を掴んでサッカーである第1グランドの方へ引っ張って連れで行こうとしていた。
この前の一件でこいつの馬鹿力を知っているので早急に離してもらいたい。
「白薇、悠紀の手を離せ!」
「悠紀大丈夫か?」
春日が俺を胸倉を掴み、江崎が馬鹿を庇うように回り込み二人で俺を睨みつけてきた。
「ハッ!お前ら馬鹿だろ?この状況を見てその程度の判断しかできないのかよ?どう考えても逆だろ。とっとと隊長から手を離せ!」
俺が言いたいことを全部捺君が言ってくれた。やっぱり使えない幹部達とは大違いだね。
「テメーら何してるんだっ!」
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