short story
□君の姿
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今年も冬がやってきた。
君の大好きな冬が。
僕の大嫌いな冬が。
今日は日曜日。
今日は君に会いに行く。
街を歩くと
クリスマスシーズンの飾りでいっぱい。
ウィンドウには、サンタクロースの服や、被り物が飾られている。
「ねぇ!見てよせふな!たくさん置いてある!」
なんてはしゃぐ君を思い出して、
「ふふっ」
思わず笑みがこぼれた。
街を抜けて一時間。
少し細い道を抜けて、君のところへ急ぐ。
ぽつんと立っている君を見つけて、目の前に立つ。
「おはよう、☆。久しぶり」
「……………………………」
「僕ね、メンバーと仲良くできてるよ。みんな、優しい。」
「……………………………」
なにも言わない君に、たくさん話しかける。
「この間はスホひょんがカイひょ…ん……に」
言葉を続けるうちに、涙が滲んで、ほろりと流れてしまった。
「帰ってきてよ、☆のこと、僕……ずっ…と待ってる…んだよ………?」
どんなに話しかけても
笑顔を向けても
君はもう
話すことはできない。
息もしていなければ姿もない。
戻ってこない君を、君のお墓の前でただひたすら待っているだけの僕。
「はぁ…☆ごめん。また来るね。」
君が大好きだったトナカイのカチューシャを
君にかけて、じゃあねと呟いて
また元の道を戻る。
"またね"
君がそう言った気がした。