ブック集
□一方通行で満足してしまった彼は知らない
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ヒソカを殺してしまった。
殺せてしまった。
絶対にヒソカを倒してやる、とは思ってた。
でも、それと同時にオレもボロボロになるって思ってたし、覚悟してた。
それに、オレの言う倒す、っていうのは殺すっていう意味じゃなくて。
こんな、違う。
これは、違うよ、違う。
俺はこんなの望んでなかった。
『やっと熟したみたいだね、ゴン』
『ボクは待ってた!ずっと待ってた!この時を!』
今だって、ついさっきまでのヒソカの言葉を、こんなにはっきり思い出せる。
興奮して上ずった声だとか、荒い息だとか、白い肌に不釣り合いな青く浮き出た血管だとか、オレを見下ろす捕食者みたいな視線だとか、上唇を舐めたグロテスクな赤い舌だとか。
なのに、なんで、目の前のヒソカは。
ただ真っ赤なだけなんだろう。