長編連載
□久し振りだな
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「……てなことがあってだな」
『おけい、土曜日の10時に真太郎ん家な。9時30分にお前ん家行くから一緒に尾行しようぜ』
「お前も歪みねえなまったく…ま、それでこそ俺の怜ちゃんだ」
『別にお前のものになったつもりはないけどな』
「あれっ」
『変装どうする? 適当になんかやるか?』
「んー、俺は一応黒のウィッグ被るわ。お前は癖ッ毛伸ばして来れば、あんま目立たないと思われ」
『そんなもんだよなー。了解。服装は?』
「いつもの感じとちょっと変えればいいだろ。カズの鷹の目がどれくらい俺らを捉えるかわかんねーけどな」
『あいつの場合、俺らがいても気にしなそうだしな…』
「問題は真太郎か…俺たちに気付いた場合、あいつはお説教でデートどころじゃなくなるだろ。いかに真太郎に見付からないかが勝負だな」
『おいおい何のためにテツヤにミスディレの極意教わったと思ってんだよ。テツヤの影の薄さが無いとはいえ、俺らのミスディレの腕前はちょっとした手品師レベルだ』
「ま、それもそうか。テツヤの影の薄さが、こんなときばっかりは羨ましいぜ」
* * *
「っくしゅっ…」
「? 黒子、風邪か?」
「いいえ…火神くんじゃないので夏風邪はひかないと思います」
「あんだとコラ」
「噂ですかね、誰かの……」
* * *
「とりあえず、そっちもオフなら都合がいい。高緑初デート尾行作戦! 決行は土曜日マルキューサンマル!」
『イエッサー! 一眼レフとデジカメは任せろ』
「おう、俺はムービー撮影の方、きっちり録るからな!」
『了解! 俺たち腐男子の3本柱は!』
「萌え!」
『天使!』
「ホモ!」