長編連載

□決めあぐねてるみたいだから
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 俺、銀橋怜と黄瀬涼太が、海常高校バスケ部に入部してはや3ヶ月が経った。桜ももう満開を通り越したら散るばかり。涼太の金髪に舞い降りた花弁が綺麗だと思ったのは、記憶に新しい。
 ま、涼太はやっぱりレギュラーになれたし。俺もマネージャーに就任できたし。今年から監督と主将の意見で、女子をマネージャーに置くことがなくなったらしい。多分涼太のせいだろう。おかげで俺は楽にマネージャーになれたけど。まぁ帝光中のマネージャーだったってのもあるだろうけどな。

「あれ、怜っちー。笠松センパイまだ来ないんスか?」

 あと15分で練習始まるってのに、まだ制服から着替えていない涼太が問うた。

「あー確か日直らしいな。今日は笠松さんのクラス、提出物とか連絡事項とか多かったし。それに7限終わってすぐ担任に呼ばれてたから、何か頼まれたのかもな」
「もう驚かないっスよ、怜っちのストーキング行為には」

 ストーキングだと人聞きの悪い。俺はとりあえず笠松さんがかわいくってかわいくって仕方ないだけだ。ちょっと先輩方をシメて情報流してもらってるだけだ。因みに俺は悪いことしてねーぞ。連中が集団万引きしてるところを写真撮って『バラまくぜ?』って言っただけ。

「犯罪ギリギリっスよそれも。盗撮でしょ? 当たり前だけど許可とってないんスから」
「涼太、事後報告って言葉知ってっか?」
「知ってるっスよさすがに……」

 そう言って苦笑した涼太を尻目に、俺は今朝のうちに干しておいた、タオルやらTシャツやらの洗濯物をたたむ。とは言っても、パパッとまとめて段ボールに積めて、更衣室のど真ん中に置いとけばいいんだけどな。
 帝光時代は、俺以外にも主要なマネージャーが2人いたから、仕事はそれほど大変ではなかった。まあ1人はコーチみたいなもんだったけど。
 マネージャーその1、金本桃弥。監督とともに練習メニューを組み立てたり、監督1人では目の届かない2軍や3軍の練習を指導したり。主に練習面でのサポート。
 マネージャーその2、俺こと銀橋怜。ケガした奴の応急措置、マッサージやサポーターの手配など。主に保健面でのサポート。
 マネージャーその3、桃井さつき。相手選手の情報収集、チームの選手の能力値測定など。主に試合面でのサポート。
 勿論それらを1人ずつが全てこなしていたわけではない。全員でとりかかることの方が多かったけど、主にそいつらが中心になってたってとこだな。
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