短編CP

□再来年には指輪を
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 自分がした言い訳がさすがにないと思ったのか、真ちゃんは再び押し黙ると、オレの胸にぐいぐいとプレゼントを押し付けてくる。個人的にはもう少しからかっていたかったのだけれど、こうなってしまっては仕方がない。大人しくその簡素な袋を受け取った。重量感は無く、中身はなんだか柔らかい。このサイズ感だと、手袋か何かだろう。

「開けていい?」
「……………」

 沈黙は了解だ。オレは真ちゃんの目の前で袋を開け、中のものを取り出す。
 ビンゴ。深緑色で、落ち着いた上品な手袋。ペールグリーンのリボンが巻かれ、くたりと俺の手に収まるそれは、持っているだけでなんとなく温かい。はめてみると、少し大きかった。指の先が、ほんの少しだけ余るくらいだけれど。オレがすると少し大きいけれど、真ちゃんがすると少し小さいくらいだろうか。

「真ちゃんが選んでくれたの?」
「だからたまたまだと…ッ」
「はいはいそっか」

 温かい。見た目は少し近寄りがたいような色なのに、ふれてみればそんなことはない。なんて。

「真ちゃんみてーだ」
「は?」
「ありがとう、真ちゃん」

 大事にする、と続ければ、真ちゃんはようやく落ち着きかけた頬をまた少し赤くして、顔を背けた。まったくどっちがネコなんだか。かわいい反応に、ついそんなふうに思ってしまう。自分の頬が緩んでいるのを自覚すると、自分がどれだけ真ちゃんを好きなのか思い知らされるようだった。
 早く帰るぞ、と少し乱暴な声色で真ちゃんが言うから、オレは手袋をした手でハンドルを握り締め、ペダルを漕ぎ出した。結局真ちゃんはオレに「誕生日おめでとう」とは言ってくれなかったけど、ギリギリ聞こえるか聞こえないかで発せられた言葉に、「真ちゃんも黒が似合ってんよ」と返しておいた。そりゃ、星も見えねーわけだよ。エース樣の光は強すぎる。







再来年には指輪を
(お前には緑が似合う)

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