短編CP

□背中と唇があったかくて
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「……なんなのだよ」
「真ちゃんの隣に来ているだけなのだよ」
「真似をするな狭い出ていけ」
「いーじゃん別に!ほらちょっと詰めて!」

 こたつが邪魔なら反対側に回ればいいと思ったのだが、さすがに平均身長を大幅にオーバーした大男と、平均ちょいオーバーだけど筋肉量のある男2人では狭い。もう少しゆとりがあるように思えたのは、真ちゃんが身長のわりに指とか首とか細いからかな。狭いこたつの中で真ちゃんの腿とオレの足がぶつかる。それでも逃げ場は無く、オレと真ちゃんの足は触れあったままだ。

「しーんーちゃーん詰めてよー」
「………」

 真ちゃんは黙ったまま、頑なに動こうとしない。オレは膝ほどまでこたつに入れただけで、腰のあたりが寒い。ストーブがついているとはいえ、こたつの中と外では雲泥の差だ。寒い。真ちゃんの半纏の裾を引っ張っても、真ちゃんは微動だにしない。

「しーんーちゃーんってばー」
「っうるさいのだよ」
「ほぁ!?」

 苛立ったような真ちゃんの声と共に、突然の浮遊感。どうも真ちゃんに首根っこを掴まれて持ち上げられたらしい。下ろされた場所はこたつに入った真ちゃんのあぐらの上だった。え、ごめん理解できない。慌てて真ちゃんを振り返ると、顔を背けて眼鏡を押し上げながら顔を赤くしていた。かわいい。からかってやりたくて口を開いた。

「真ちゃん」
「……これで、前も後ろも暖かいだろう」

 ああもう。こんなかわいい真ちゃんいじるしかないっしょ。

「? 高尾、どうし…」

 ちぅ。

「!?」
「奪っちゃった♪」

 急に静かになったオレを気にかけて顔を寄せてきた真ちゃん。その唇を自分のと重ねてやれば、面白いくらいに真っ赤になった。触れるだけの簡単なキス。なのに真ちゃんは、こっちがちょっと心配になるくらいテンパるんだ。でもそれがかわいくて仕方ない。
 オレの真ちゃん。オレだけの真ちゃん。

「……あまりからかうな、バカ尾め」
「へ、んぅっ」

 振り返ったままでいると、乱暴に唇を奪われた。まだちょっと下手っぴだけど、大分慣れてきた真ちゃんからのキスだ。啄むように唇を吸ってくるのが愛しい。オレがそれに答えようと舌を伸ばすと、真ちゃんは突然顔を離してしまった。

「真ちゃん…?」
「もっと欲しければ、欲しいと言ったらどうだ?」

 なんでここでそんなかっこいい笑い方すんの。惚れ直しちゃうじゃん。
 たまにしか見せてくれない真ちゃんのデレだから、オレはあざとく笑って、その薄い唇に触れながらこう言ってやるんだ。

「もっかい、ちゅーして?」








背中と唇があったかくて
(……インターホンにも気付かねぇほどイチャつくってなんだよ。轢くぞ)

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