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□帰り道
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〜旭side〜


 部活が終わった後、俺達は同じ電車なので一緒に帰ることが多かった。

 登校もいつの間にか一緒なことが多くて、気付けば柳也と帰るのは当たり前になっていた。

 普段は自転車だけど、今日は朝は雨が降っていたから、歩いてきた。

 今はすっかり、空はオレンジ色に染まっている。

 秋は雨が多い。

 暑がりな俺からすれば、雨は結構有り難いんだけど。

「あきらー」

「んー?」

 いつも通りの何気ない帰り道。

 この瞬間まで、俺はそう思っていた。

「俺のこと、好き?」

 車が通る。ふわりと湿った風が俺と柳也を覆う。

 俺は思わず足を止めて、柳也をガン見した。

 何言ってんだ? コイツは。

 柳也はいつも通りのすっきりした切れ長の目で俺を見ていた。

「…………嫌いではない」

「何、今の間」

「何でもねぇよ」

 柳也を置いて、俺はまた歩き始めた。

 俺の斜め後ろから再び柳也の声がかかる。

「俺は旭が好きだよ」

 カツン、と柳也の黒い傘がまだ少し湿ったアスファルトに当たる音がした。

「はいはい、あざーっす」

「本気にしてないだろ」

「んなことねーよ。オレモリュウヤガスキデスヨ」

 顔に熱が集まっているのを、柳也は気付いてないだろうか。

 気付いてないといい。

 というか、夕日のせいだと思ってくれればいい。

 すぐ俺の顔は赤くなる。昔はよくからかわれたが、さすがに高校に入るとそんなことはなくなった。

「すごい棒読みと不自然な敬語だな」

 柳也が苦笑したのが分かった。

 だってお前は俺をからかってるんだろう。

「……マジで言ったらキモいだろうが」

「言われたら泣いて喜ぶけど」

「それはそれで嫌だ……」

 柳也が泣くのは想像がつかなかった。

 ニヤリと悪どい笑みを浮かべた姿なら、深く考えなくても思い付くけどな。

「愛してるよ、旭」

 柳也は当たり前みたいに、二人きりになるとそんなことを言う。

「はいよ、俺も愛してるぜ、柳也くん」

 俺はいつも、何でもないようにその言葉に返していた。

 じゃなきゃ、照れで何にも言えなくなりそうだ。

「愛がない」

「友愛ならたっぷり込めたけど」

 これでもかってくらい。

 しかし、柳也は何を聞いていたのか、後ろから俺に抱き着いてきた。

 少し、暑苦しい。

 
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