They made a promise by linking

□部活の君
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〜佑輔side〜


 真っ直ぐに的を見るときの目が好きだと思った。


*  *  *



「進藤 佑輔(しんどう ゆうすけ)でーす。よろしくお願いしまーす」

 いつも通り、柔らかい笑みを浮かべてオレは一礼した。

 今日は新入生の入部届を受理し始める期間の初日。

 弓道部には、オレ以外にも男女あわせて4人が入部届を持ってきていた。

 とりあえず、計5人かぁ。

 まずは入部した新入生に挨拶してもらおう、と部長が言い出して、俺達新入部員は横一列に並べられた。

 一番右端にいた俺から自己紹介は始まったわけだ。

「渥見 旭です。よろしくお願いします」

 オレの次は男。アキラくんか。

 ちらり、と横目で観察するが、結構話しかけやすそうな顔立ちをしている。

 明るくて、元気っていう印象を持った。

「東雲 柳也です。……よろしくお願いします」

 あ、同じクラスの奴だ。

 顔だけじゃわからなかったけど、名前に聞き覚えがある。

 ていうか、多分オレの前の席の奴な気がする。

 なんか近付き難いオーラが漂ってて、未だに話したことはないんだけど。

 しかし、オレのそんな東雲 柳也に対する人物像はすぐに覆されることになる。

 5人の挨拶が終わり、なんとなく新入生同士の会話が始まった。

 先輩方も遠慮してくれて、一年だけで話をする。

「ねぇねぇ、アキちゃんって呼んでいい?」

 アキラくんにそう言えば、嫌そうに顔をしかめられた。

「やめろ」

「オレは佑輔って呼んで?」

「お前はちゃん付けすんな」

 いーね。打てば響くって感じの返答にオレは好感を持った。

 ふと、アキちゃんの隣から東雲 柳也が顔を出す。

「似合うと思うけど、アキちゃん」

「柳也までやめろ、マジで」

 あれ? っと思った。

 もしかして、案外話しやすいんじゃないだろうか、この一見無愛想野郎は。

「アーキちゃん」

「やめろ、佑輔」

 ふざけて呼んで、アキちゃんに抱き着けば、彼は逃れようともがく。

 ぎゅーっとふざけて抱き締めれば、突然東雲 柳也がオレの腕の中からアキちゃんを奪った。

 あれれ?

「気安く触んな。旭は俺の」

「お前のになった記憶はないけど」

 アキちゃんは冗談に捉えたらしいが、東雲 柳也の顔は真剣だった。

 
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