黒子バスケ
□降赤
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「うぉー寒い…」
季節は冬、極寒の南極にいるような寒さ。出来るだけ体を縮こめるがそれでも寒さが防げる訳では無かった。
降旗は手を擦り合わせながら息を吹きかけて歩いている。
周りにはカップルで歩く男女ばかりでそれぞれ腕を組んだり手を繋いだりして歩いている。
その人混みの中を独りで歩くのはいろんな意味で寂しい。
足早に目的地を目指した。
ようやく着いたのはちょっとしたアパートのような場所。上に登って一番右側のドアの前に立ち左横の呼び鈴を押す。
すると人が歩くような足音がしてドアが開いた。
「誰」
そう呟くのは赤司、上目遣いでこちらを見ると黙ってドアを開けて入れてくれた。
部屋に入ると赤司はベッドに座る。俺は仕方なく立ちすくむ。
なぜかって?不用意に座ると赤司に怒られるからだ。ここに呼ばれる時も脅迫みたいな感じだったし…
よく見ると赤司はTシャツにデニムという相変わらずのラフスタイル。その上から軽く上着を羽織っている。余程寒かったようだな、暖房付ければいいのに。
「そこ、座れば」
「ん…ありがとう…」
赤司が目線を送った方にあるソファに座る。それからゆっくり下を向いて雑誌をめくって黙って見ている。
赤司との会話は基本的に続かない。だから俺もごちゃごちゃとは喋らないようにしている。
怒られるからな…汗
降旗がソファでじっとしていると赤司は見終わった雑誌をそこら辺に投げやってこちらを見た。
「…ん」
「な…何…?」
トントンとベッドを叩く。つまりそこに行けと言うことだ。
立ち上がって赤司の隣に座ると肩に寄りかかってきた。
赤司ばかり好き勝手していいなぁ…と思いつつ黙って静止する。ちょっとでも動くと怒られる…
「…汗」