witch-hunting

□プロローグ
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どうか僕の文才の無さを責めないで頂きたい。
これから僕が書くこの原稿は、信頼ある出版社に渡して、沢山の人に読んで貰う。
書く、なんて良くないな。描く、だな。
まさに、エガクのだ。

彼女達も

彼等も

そして僕の大切な恋人も


それぞれがそれぞれに懸命にもがき、抗い、その結果、人々に蔑まれ、罵られ、差別を受け、辛い辛い地獄を味わい、そして殺された。

僕の恋人も、人間なんて無力で最強な生き物に公開処刑された。焼かれた。


魔女狩り


あの子は魔女だった。
憎悪の魔女。人々の他人を憎しむ気持ちを吸いとる代わりに、あの子は憎しみに充たされて、苦しんだ。

きっと、その魔力に耐えきれなくなったんだ。



シンデレラが「たとえ辛いときも信じて居れば夢は叶うもの」と歌っていた。何度も。
でも、シンデレラが王子様と幸せになれたのは、魔女が居たから。シンデレラのように、王子様に選ばれたかった子が居たから。

全ての人が幸せになるなんて有り得ない。……無理なんだ。わかるんだ。
全ての幸せの裏には、必ず、絶対に、不幸にされる人がいる。

一人か二人か百か千か、規模は解らないが、必ず居るんだ。

君の存在が無ければ、親は君にお小遣いをあげる代わりに、服を買えた。
君の存在が無ければ、あの子は、あの子達は死ななかった。

でも逆なんだ。

君の存在があったから、この世界になれたんだ。
だから僕は、君たち人間を怨むと共に、寛大に受け入れ、赦そう。

でも今から話すのはあの子の事じゃない。

破壊の魔女。

彼女の話から始めよう。
どうか僕の文才の無さを責めないで頂きたい。

さあ、始めようか
 

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