小説
□成る程夢オチって奴ですね(違)
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「マスター」
洞窟の中で、聞き慣れないがどこか懐かしい響きの声が発せられた。
「ん…誰…?」
先程まで寝ていたため、目を擦りながら体を起こす。そして声のした方へと体をよじらせると、金色に輝く髪を靡かせる1人の青年が突っ立っていた。茶色く光る丸い瞳のその輝きも、やはりどこか懐かしい。
「君…どこかで僕と…?」
「やだなぁマスター、いつもあってるじゃない」
「…え?」
暫く考える表情を作ったレッドだが、はっと何かに気付き、腰につけていたモンスターボールを確認する。
―――いない
フシギバナ、リザードン、カメックス、カビゴン、エーフィ、あと1匹がいない。その強さから"黄色い悪魔"とも呼ばれている、レッドの相棒としていつも連れ歩いていたそのポケモンが欠けている。そして、目の前にいる青年と妙に重なって見えるのだ。
「君…
―――――ピカチュウなの?」
「…正解」
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