小説
□あんたらいくつだよ…
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窓の外を見ると、トキワの町はすっかり雪で覆われていた。
「…いつの間に」
挑戦者を立て続けに相手していたトキワジムのリーダーは、たった数時間での景色の変わり様に思わずため息をついた。このジムリーダー、大の寒がりである。
「お前も寒いの嫌だろ?」
ボール越しで幼馴染みに語りかける。しかしあることに気付く。
「…鋼の鎧って事か、それは暖かそうだな」
ストライクの時は飛行タイプだったが、ハッサムになった今は鋼タイプ。むしろ寒いのに強くなっている。
「…ジム閉めよーかな」
なにやらとんでもないことを呟きながらも彼の持つ真面目な性格がそうはさせない。
「寒い…」
…――コツン、
控え室に置いてあるコタツに入って暖をとっていると、窓に何かが当たる音がした。
「…アイツ等か」
それだけで人を特定できるとか、どんだけそれ受けてんだよ!!その内窓割れるぞ…
グリーンはコタツから這い出し、ダッフルコートにマフラー、手袋、耳当てと完全防寒でジムの裏口から姿を現した。
‥‥‥‥‥‥‥
「「おはよージムリーダー♪」」
ドアを開けた瞬間、見慣れた2人が揃って挨拶をする。
「…こんな寒いのに元気だな」
表情こそ変わらないが、グリーンの体はガタガタと震えている。
「相変わらず寒いのに弱いよねー」
ブルーもグリーン同様にコートやマフラーを身に着けているが、グリーンほどは着込んでいない。彼女に寒くないのかと問えないのは、原因がその隣にあるから。
「俺を見習えUNI頭」
「「いやそれは無理だから」」
思わず声が重なる。
そう、原因は、真っ向から否定されて、えー、と呟く彼・レッドの服装にあった。
……半袖?
「みているこっちが寒いんでせめてコート着てくださいチャンピオン様」
通りすがりのおじさんにも言われてるぞ。その通りだと言わんばかりにグリーンとブルーはコクコクと首を小刻みに縦に振る。
「でも、シロガネ山と比べたらなー…」
彼曰く、こんな所で防寒着を着ていてはシロガネ山に行ったとき修行する前に凍死するとかなんとか。
しかし通行人にも言われて渋々コートを身に纏う。…と、レッドの紅色に光る瞳がカッと開かれる。
「どうした?」
心配して声を掛けるグリーン。
そんな中でレッドが呟いた一言が、
「…あったかい」
「「でしょうね!!」」
ブルーはともかく、グリーンは久し振りに大声を上げた。
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