長編
□MAY@
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「グリーン、次はリレーだよ」
「そうだな」
ここの学校は春の内に体育祭をやるらしい。よくある話か。
俺の名前はグリーン。訳あって最近ここの学校に転入してきた。訳というのは、まぁ簡単な事。
「よーし、頑張るぞー!!」
隣で叫んでいるコイツ、レッドを監視する為だ。でもって頃合を見計らって―…。
コイツはとある殺人現場に出会した。通報した後その場に残らないという無責任な行動をとった奴だが、話を聞くと、その現場にいて吐き気を覚えたらしく、もう一人誰かがいたからその人に任せたとかなんとか。何ともマイペースな奴である。実際マイペースだが。
実はその誰かとは俺だったのだが、幸いにもコイツは覚えてないらしい。危ない危ない。でも何かの拍子で思い出してしまったらという可能性も無くもないから俺はコイツを監視している。何故かってか?
この俺がその殺人の"犯人"だからだ。
だが1つ問題があって…
「ねぇグリーン」
きゅ。
突然服の裾を掴まれ振り向くと、例のターゲット、レッドの姿があった。
「一緒に行こうよ」
そう笑顔で返され、胸が高鳴る。
「あ、あぁ」
…そう、この男、可愛すぎるんだ。
殺すのはちょっと、というかかなり躊躇うが、仕方がないのだ。任務だと思えば…!!
だから優しく、紳士的に、そっと楽にしてやると心に決めている。
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「グリーン、お疲れ様!!」
リレーは俺達のクラスの圧勝。俺はまぁ一応仕事柄で足に自信はあったのだが、意外なことにレッドも負けず劣らずのスピードで走るので、一気にリードが広がったのだ。
取り敢えず腹が減ったのでその辺で買ってきたパンに手をのばしていると、レッドが袋を開封しようとしていた俺の手を掴み、ぐいっと引っ張ってきた。
「おい、俺は今から昼飯を「一緒にお弁当食べようぜ!!」
………。
………………。
………………………………。
「実は俺、一緒に食べる相手がいないんだ」
その手には大きな弁当箱。
「俺の手作りなんだ」
それを掲げてにっこり微笑む。
ふ、2人きりになれる…だと!?
それは…
コイツを暗殺できる絶交のチャンスじゃないか―――!!
To be continued