New crescent

□エイプリールフール
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〜放課後〜



「じゃあね、***」


そう言ってナミは私に向かって手を降る。
今回も凄いナミにお世話になってしまった…
ていうか、もう21時間だ…


『うん、ありがとうね!ナミ』

「友達でしょ?当たり前よ!」


じゃあね、と言って最後に手を降るナミを曲り角まで見送る。
ナミが角を曲がり、帰ろうと思い正面を向く。



『っ!』

「……」

「どうしたの?ロー?」



ローが、少し先に立っていて目があった。
だけど、学校で見たローと一緒で……
知らないケバい女の子がローの右腕にベッタリくっついていた。



『ろー………』

「…どうしてこんな時間にココにいる」

『ごめ…!すぐ帰るから……』



なんで、私が謝ってるの…?
なんで、ローは怒ってるの?
なんで……なんで、ローは他の女の子と一緒にいるの?

ローの家……コッチじゃないでしょ……?


「ったく…さっさと帰れ」

『……んで』

馬鹿みたい…
なんで私が謝ってるの?

「あ?」

『…ローには関係ないじゃない!!!ほっといて!』

「なっ…待て***!!」



気がついたら全速力で走っていた
あんな光景二度と見たくない
今は、ローでさえ見たくない…

家の近くの公園にたどり着いた。
薄暗いけど、何故かその薄暗さが安心した。



『もう…やだぁ…』



遊具のブランコに腰掛けて、手で顔を覆い隠す。
暗闇の中で見えたのは先程の光景だった

ローの怒った顔
べったりくっついていた女の嫌そうな顔


『邪魔だったのって、私だったのかな』

それならそうと言ってくれないとわからないのに…



『だいきらい…』

「誰がだ」

『っ!!!』



急に後ろから声がしたと思ったら
誰かが抱き締めていた。

いや、誰かじゃない。
この匂いと、この低い声…知ってる



『ろー…』

「オレが嫌いになったか」



少しだけ早い心音と息がきれているということは
きっと、走って追いかけてきたんだろう


『あの女の人はどうしたの』

「おいてきた。オレの質問に答えろ、嫌いになったのか」

『っ嫌いだよ!大嫌い!私が邪魔なら…言えばいいじゃない…!』

「わかった」

『離して』

「離さねェ」

『邪魔なんでしょ』

「邪魔だよ」

『っ……』

「…泣くな、***」

『だって…ロー…あの子が好きなんでしょ』

「チゲェよ、今日はエイプリールだろ」



そうだ、エイプリールフールだ
ナミに嘘をついて見破られもん。



『何に嘘ついてるのよ』

「あの女の存在」

『意味わかんない』

「あいつはイゾウだ。罰ゲームで今日一日オレの浮気相手設定だ」

『は…?』

「おればお前しかいねェよ」

『…うそ』

「…お前なんか一生愛さねェ」

『んっ…』



そう言って前へと回ってきたローは
私に1つ、愛を落とした。




『ロー、大嫌い』

「オレはすきだ」

『…私も』








お前なんか一生愛さねぇ(お前を一生愛する)
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