Full Moon
□エースvs私
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ここは春島。
温度は丁度良いぐらいで、風に乗って微かに花の臭いがする。
島のある部分に行くと、《サクラ》という珍しい花が咲いている、
『…暖かい』
ココに、あの人がいるなど全く知らずにのんびりとしていた。
ログはまだたまらない。
少し、必要なモノを買いに行こうか?
食料も尽きてきているし、お風呂にも入りたい。
まず、宿だな。
長くなった銀髪を、ベリーショートのカツラを被り隠す。
ポケットからは、液体に浸かっているコンタクトレンズ。
後は服装…だけど、まぁ変えなくていいだろう。
なんせ、今着ている服は長ズボンに青い無地のTシャツ。
『タイムリミット有りの買い物スタート…ですね』
バレるか、買い終わるか。
どちらが早いかしら?
********
『これ、下さい』
「偉いね、ボク。お使い?」
『まぁ、そんな感じです。ありがとう』
「いいえ、頑張ってねー!」
元気に手を振るお姉さんに、振替す。
バレてない。
まだいける……
「火拳!待て!!」
「いやだね!」
どこからか聞こえてくる声。
……火拳?まさか。
「ボウズ!どけっ!危ねェぞ!!」
『え…?っ?!』
急に地面に立っているときとは違う感じがした。
お腹に何かあたってる。
てか、鳩尾(みぞおち)いたい……
歩いてないのに地面が変わってる??
もしかして…と思い、横をチラッと見ると……
なんと、火拳が私を担いで走っていた。
『はっ……離してくださいっ!』
エ「げっ!担いじまってた!!しばらく待ってくれ!」
「火拳!!その子をはなせっ!!」
エ「オメェらが追って来ないならはなす!」
「いいから離せっ!!」
エ「じゃあちょっと待てよっ!」
海軍とこの人との会話が走りながら繰り広げられる。
私がいることで無闇に銃を発砲できない。
気をゆるむと、カツラが落ちそう。
髪の毛を必死に押さえる私を完全無視で走っている火拳。
足が意外と速い。
海軍がもう見えないじゃないですか。
『…海軍はもういませから!離してくださいっ』
エ「念には念を!海岸まで行く!」
『いいから離してください』
エ「あ、悪りぃボウズ。買い物途中だったんだろ」
『…いいかげん離してください。アナタに関係ありません』
エ「冷てェボウズだな」
『ボウズじゃないです。…今度会ったら容赦しないといいましたよね?ポートガス・D・エース』
エ「…え?あれ。お前…女?」
『…とりあえず三秒以内に下ろしてください。そしたら害は加えません。』
エ「…まさか、だが………モミジか…?」
『分かってるならなおさら離して下さい。迷惑です』
エ「……マジかよ!俺もう一回お前に会って話してェことがあったんだ!!」
勢いよくおろして、私の肩を鷲掴みにする。
……逃げないようにしてるだけ?いや………これは……
興奮し過ぎて周りが見えてない状態だ
『痛いです。離して下さい』
エ「わ…悪ィ!あのよ、お…」
言葉を切ったポートガス・D・エース
まぁ、仕方がないだろう。
なんせ私が刃を彼の首目掛けて構えてるから
『…次会えば、容赦しないといいました』
エ「お…おう」
『そして馴れ馴れしくしないで下さい。私と貴方は知り合いでも何でもない』
エ「…そうじゃねェよ。おれらは知り合いだ。てかむしろ友達だ」
『そうだったとしても、私は知らない』
この人、本当にしつこい。
何故か胸がすごくムカムカする。
やり場がないな。この感情…
エ「とりあえず、聞いてくれよ。おれは思い出して欲しいだけだ…そして、謝りたいだけだ」
『結構です。さよなら』
刃を下ろして、私は方向転換した。
歩き出そうとすると、彼は私の腕を掴み“行くな”という…
何故か、その行為は私が昔に望んでいた行為と全く一緒で……
でも、昔は昔。
今の私は昔ほど優しくもないし、明るくもない。
知らない人がきたら、刃を向ける。
自分が生きるためなら人だって殺す。
ただ、私にお願いや触れても良いのは………
『お兄ちゃんとあの方だけです。』
エ「え…?」
『触らないで下さい。私、やっぱり貴方のこと嫌いです』