Full Moon
□反乱、そして別れ
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エ「大丈夫か?」
『はい』
エ「…ほら、手」
『?手ですか…?』
そう言って左手をだすと、ポートガスは右手を握って歩き始めた。
『あ…あの!』
エ「こっちの方が歩きやすいだろ?」
『っ……ありがとうございます…』
少し苦戦していたのが、見破られたのか……
恥ずかしい限りだ。
エ「水、飲まなくていいのか?」
『はい。大丈夫です…あなたこそ大丈夫ですか?』
エ「あ?暑さは慣れてるんだよ、オレは」
『そうですか……』
そう言って、しっかりとリードしてくれるポートガスは、本当に優しいと思う。
^^^夜^^^
ナ「昼間はあんなに暑かったのにどうなってんの?」
ビ「熱を遮るものがない砂漠では昼間は焼け付き夜は氷点下まで冷える。砂漠には、予想のつかない危険がいっぱいあるのよ」
エ「…寒いだろ?」
『………いいえ』
エ「嘘をつくな、震えてるじゃねェか」
『…震えていません』
エ「可愛くねェな……よっと」
『………!!なっ』
急に立ったかと思えば、ポートガスは私の後ろへと回ってきて後ろから抱きしめてきた。
さっきまで寒かったのに、今ではだんだんと暖かくなってきた。
エ「無理すんなよ、寒いの苦手だろ?」
『っ……』
エ「ハハハッ!手は出さねェから安心しな」
『当たり前ですっ!!!』
エ「…海の上の星とここの星…あんまり変わんねェけど綺麗だな」
『…はい』
ポートガスと空を見ていると、ビビさんの気配がした。
私が空を見るのをやめると、ポートガスも私に気がついたのか見るのをやめる。
ビ「……ビックリしたんじゃないですか?」
エ「ん?」
ビ「ルフィさんのこと。私も最初はビックリしたんです…ルフィさん、船長らしくないっていうか…」
『…』
ビ「海賊船の船長っていえば、乗員から尊敬されてるのが普通だし…昼間のことだってちょっと水飲んだくらいであんなふうに喧嘩して…」
『…フフッあれは私もビックリしました』
エ「そうか…」
ビ「でも…でもね、ずっと一緒にいるうちにだんだんわかってきたの」
エ「…あれがルフィのやり方なのさ」
ビ「え?」
エ「ガキの頃からちっとも変わっちゃいねェ。あんなふうだけどあいつの周りにはいつも人がよってくる」
『……』
エ「我が弟ながら不思議な魅力のあるやつだ」
ビ「なんだ、わかってたんですか」
エ「あいつとは、長い付き合いだからなァ…だが、ありがとう」
ビ「え?」
エ「オレが気にしてるんじゃないかと心配してくれたんだろ?」
ビ「えぇ…でも、取り越し苦労だったみたい」
『…ルフィさんたちは、これからも楽しい航海をしますよ…きっと』
エ「…あぁ」
ビ「…では、お邪魔しました」
エ「ククッ…あぁ、ありがとな」
『?』