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□Timeless Sleep
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「行かなくていいのか?」
「……いい、行かない」
今日は″白鐘総司″という人間が天へ旅立つ日。
分かりやすくいえば、お葬式だ。
″白鐘総司″旧姓は瀬多。
70年前にここ八十稲羽市を救った『自称特別捜査隊』のリーダー。
初めて会った時から、ただ者ではない雰囲気を持った男。
かっこよくて、優しくて、強い彼は、皆から慕われていた。
私の初恋の人。
私が、彼に恋をしていると自覚した時には、彼は、既に探偵王子の恋人になっていた。
それを知った時は、悔しかったし、すごく落ち込んだ。
でも、彼があの娘を選んで良かったと今は強くそう思っている。
人間である彼の命には、限りがある、
人ではない私とは、時間の流れが違う。
老いていく彼や探偵王子、ジュネス、緑と赤、おっさん、シンドスギの顔を見る度にそれを思い知らされ、それが辛くて、彼等に会いにいくのをやめた。
出会った頃のまま、変わらない姿の私。
置いていかれるという寂しさが、私の心にいつまでも付きまとっていた。
あの明るくて、ウザイクマ毛も私と同じ気持ちになったのか、彼等の子供がある程度、大きくなった頃には、テレビの世界に引きこもるようになった。
「……キミは、彼にちゃんとお別れを言ったの?」
「当ったり前だろ!総司と俺様は、マブダチだからな!」
「キミも……彼の事、大好きだもんね」
「あぁ!?気持ち悪い事言ってんじゃねぇよ!
俺様がじゃなくて、総司のヤローが俺様の事好きなんだよ!!」
「い、いや、意味わかんないから」
端から見たら、絶対キミの方が彼の事好きでしょ。
いつもキミと探偵王子で彼を取り合っていた事知ってんだから!