P4(short)


□Lover's Promise
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家に帰る為に、長い坂道を二人で手を繋いで歩く。
彼の片手には、食材が入っているジュネスの文字が入った白い袋。


「今日は、何が食べたいですか?」
「何でもいいよ。直斗の作る料理は、全部好きだから」


そう言ってくれるのは、嬉しいけど、それが一番困るんです。
彼と恋人になって、基本的な料理は、本を見なくても作れるようになったけど、余りものでパッパッと何十品も作れる料理上手な彼と比べて、レパートリーも少ないし、自分でアレンジできる程の自信もまだない。

基本的に家事は当番制だ。
ただ、どっちかが忙しい時は、時間に余裕がある人がやる。
それが、同棲する上での僕と彼の間でできたルールだ。

「直斗は、探偵の仕事もあって忙しいんだから、無理して家事をしなくてもいいよ」

同棲する前に彼は、そう言ってくれたけど、総司さんだって、勉強やサークル、バイトも二つ掛け持ちしていて、僕よりも忙しそうなのに甘える訳にはいかない。

それに僕は、彼の服を洗濯したり、彼の部屋を掃除したり、彼の為に料理を作るのが大好きだ。
いくら大好きな彼でも、僕の楽しみを奪って欲しくない。

「″何でもいい″は、今日から禁止です」
「……わかったよ、この前、直斗が作ってくれたハンバーグで。目玉焼きもつけて」
「ふふ、わかりました。総司さんは、いっぱい食べるから、少し時間かかりますけど……」
「ゆっくりで大丈夫だよ。直斗が怪我でもしたら、大変だし」
「そ、そんな失敗はしません!」
「ごめん、ごめん」
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