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□Chocolate perfume
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バレンタイン当日。
インターフォンが鳴り、ドアを開けたら、そこに愛しい恋人がいた。
「直斗!?」
「今年は、どうしても先輩に直接チョコを渡したくて、来ちゃいました……ご迷惑でしたか?」
「いや、会えると思っていなかったから、嬉しいよ。寒かっただろう?中に入って……」
「おじゃまします」
「……相変わらず、先輩はモテますね」
「……全部、義理だよ」
「……そうでしょうか」
大きな紙袋には、可愛らしく包装されたチョコが大量に入っていた。
それを見て、面白くなさそうな表情をした直斗に瀬多は、苦笑いをする。
「はい、チョコレートです」
「ありがとう。お茶入れるから、一緒に食べよう」
お茶の用意をするために台所に向かおうとしたら、後ろから直斗に抱きしめられる。
「直斗?」
「あ、あの……実は、もう一つ先輩にあげたいものがあるんです。……受け取ってもらえますか?」
「そうなんだ?楽しみだな」
「こ、今年はチョコをあげるだけではなくて、もっと恋人らしい事をしたいと思って……去年は、先輩の受験の邪魔をしたくなくて、郵送でチョコを贈っただけだったから……」
「別に気にしていないよ」
「せ、先輩が気にしていなくても、僕が嫌なんです。チョコを渡すだけなら、他の女性の皆さんと変わらないじゃないですか……だから、今年は、チョコと一緒に……ぼ、僕ももらってくれませんか……」
「!?」