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□エイプリルフール
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「あの…先輩に大事なお話があるんです」
「大事な話?」
「はい…実は、僕…赤ちゃんができたみたいなんです」
「!?」
今日は、4月1日でエイプリルフールの日だ。
いつも僕ばっかりドキドキさせられているから、たまには僕の方から彼をドッキリさせようとこの日を利用して、僕は彼に嘘をついた。
それは、遡ること数時間前。
″直斗君!私、赤ちゃんができたの!この子の父親と結婚する事になりました(*^_^*)″
久慈川さんから、こんな内容のメールがきた。
あまりの突然の報告にびっくりして、彼女の携帯に電話をかけようとした時、ふっとカレンダーが目に入り、今日がエイプリルフールだという事に気づいた。
電話をやめ、メール作成画面にして、彼女のアドレスを呼び出す。
″おめでとうございます、久慈川さん。…探偵である僕をだまそうなんて…いい度胸です″
送信ボタンを押して、数分後、久慈川さんから電話がきた。
「さすが、直斗君!今日が何の日か気付いていたんだ〜。
完ニなんて、すぐ信じちゃって、『どこのヤローだ』なんて言って、さっき電話かかってきたんだから!」
「…巽君らしいですね」
「そうだ!直斗君も先輩にやってみたら?…例えば″赤ちゃんができました″って、嘘をついたら、先輩がどんな反応をするか気にならない?」
久慈川さんとの電話が終わった後、いくら嘘が許される日だからって…先輩を騙すような事を…と思いながらも、好奇心が抑えきれなくなった僕は、思い切って彼に電話をした。
そして、今に至る。