P4(short)


□ショッピング!
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「千枝先輩と雪子先輩が、今着ている服って、マリーちゃんが選んだものなんだぁ〜。いーなー、私の服もマリーちゃんに選んで欲しいなぁ。ねぇ、これから沖奈でショッピングしよう!」

商店街でりせ達と出会い、マリーは今、沖奈市内にあるブティックにいた。

「ねぇ、このシャツ可愛いと思わない?」
「…緑だね」
「このスカートどうかな?」
「すごい赤だね…」
「先輩達ばっかり狡い!ねぇ、マリーちゃん、このキャミどうかな?」
「…いいと思うけど、今着ている服と同じ色だけど…いいの?」

服を持ってきては、感想を求められる。

女の子だけで、遊びに行くのはこれが初めてだった。
いつもは必ず″彼″と一緒だったから…。
″彼″がいない生活は、まだ慣れないけど、″彼″の大事な仲間達とこうやって遊んだりするのは嫌いじゃない。

さっきから、会話に入らず、一人で黙って服を見ている直斗の姿が目に入り、マリーは彼女に近づく。

「…それ気に入ったの?」
「えっ!?あ、マ、マリーさん、いや、これは…」
「…この服だけずっと見ていたから…」

後ろからマリーに声をかけられた直斗は、ハンガーに掛けられている白いキャミワンピの裾を掴んでいた手を慌てて離す。

「…僕には似合いませんよ」
「なんで?自分が着たいと思ったら、着ればいいじゃない」
「で、でも…」
「…似合うと思うよ。それに…この服、″彼″も好きそう。白は、″彼″の好きな色だから…」
「えっ!!あ、えっと、その…」
「?」

マリーが″彼″の事を口にすると、直斗は面白いぐらいに過剰に反応する。
頬が心なしかピンク色に染まっている。

二人のやり取りを見ていたりせから、その原因を聞かされ、ああとマリーは納得した。

あのワンピースは、自分が気に入ったから見ていたというより、″彼″が好きそうと思って見ていたのか。

マリーは、直斗とあまりしゃべった事はないが、事件がまだ解決していない頃、テレビに出演していた直斗を見た事があり、名前と顔は知っていた。
あの時の彼女は、言葉は丁寧ながらも、どこか近寄りがたい雰囲気をまとっていた。

しかし、さっきの白いワンピースを見ていた時の直斗の雰囲気は、とても柔らかく、口元に笑みを浮かんでいて、幸せそうな表情をしていた。

″彼″と出会い、″彼″からの愛情を一身に受け、それに応えるように、だんだん女性らしく美しくなる彼女。

もし、私が″彼″の恋人だったら、彼女のようになっていたのかな。

″彼″によって変わっていく直斗。
″彼″にほのかな好意を抱いていたマリーには、そんな直斗の姿がとても羨ましく、とても眩しかった。



END
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