P4(short)


□しるし
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寝ている瀬多を起こさないように直斗は、そっと体をはなして、裸のままベッドから出た。

近くに置いてある全身鏡に映った自身の体には、情事の最中に瀬多が付けた赤い印。
それを見つけると、直斗は顔を赤らめた。

さすがに首筋など目立つところにつけてはいないが、暫くは人前で着替えるのは避けたほうが良いだろう。
…特に胸のあたりは。

この印を他人に見つけられたら、恥ずかしいが…それをやめてほしいとか消したいという気持ちは直斗にはなかった。

瀬多は、いつも直斗に優しい愛情表現をしてくれるが、あまり嫉妬や独占欲を表に出す事はない。
だから、この印が多ければ多い程、自分がどれだけ瀬多に愛されているかがわかって、直斗の心は満たされる。

眠っている彼の体に目を向ける。

大食漢なのに無駄な脂肪がついていない。
細身だが、バランス良くついている筋肉。
男性にしては色白ですべすべしている肌は、傷一つなく綺麗だ。

その綺麗な体に…僕も印をつけたい。

体重をかけないように気を付けながら、瀬多の上に馬乗りになった。
彼の胸の辺りに唇を寄せ、何度か吸ってみるが…なかなか印はつかない。

「…どうして…つかないのだろう?」
「……もっと、強く吸うんだよ」
「そうなんですか…では、もう一回…っ!?」

いつの間にか目を覚ましていた瀬多は、体を起こすと直斗を抱き寄せる。

「ストローを吸うみたいにやれば痕がつくから、もう一度やってみて」
「えっ、は、はい。し、失礼します」

言われるがまま、今度は彼の鎖骨の下辺りにおそるおそる唇を寄せ、ちゅっと音を立てながら強く吸う。

唇を離し、吸ったところを見ると、彼の体にほんのりと赤い印がついていた。

「これでおそろいだな」

嬉しそうに笑いながら、瀬多は、自身の体についた印を撫でる。

「あの…もっと、つけてもいいですか?」
「ああ、もちろん!…俺の体を直斗のキスマークで埋め尽くしてほしいな」

瀬多の体にもっと、自分の名残を残したくて、彼がうなづくと同時に直斗は、彼の首筋に唇を寄せた。

瀬多の首筋にも赤い花が咲いている事を確認すると、直斗は満足気に微笑む。

「印が消えたら言ってくれ。悪い虫がつかないように、また付けるから」
「貴方こそ…これからは、浮気防止のために僕も貴方の体にいっぱい印をつけますね」

赤い印は、独占欲の表れ。
そして、愛されているという証。

END
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