garbage box

□恋せよ乙女
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「直斗…電話が鳴っているわよ」
「はい!あっ…」

テーブルに置いてある直斗のスマートフォンがブルブルと震えている。
それを手に取り、液晶画面を見た直斗の顔に笑みが零れる。

「す、すみません、瞳子さん!ちょっと、席を外します」

急に顔を真っ赤にし、直斗は慌てて部屋を出ていく。

…なるほど。
直斗のあの表情を見て、瞳子は納得した。

久々に出会った直斗は、すっかり女性らしく、ますます綺麗になっていた。

おそらく、先程の電話の相手が、彼女を″女の子″にさせたのだろう。

「瞳子さん、お待たせしてすみません」
「あら、もう良いの?もう少し、恋人といちゃいちゃしても構わないわよ」
「なっ、何言っているんですか!?違いますよ!僕と先輩はそ、そんな関係じゃありません!」
「ふ〜ん、直斗の片思いね」
「な、なんでそんな事を…」
「…電話が鳴った時、とても嬉しそうな表情をしていたわよ」
「と、瞳子さん、からかわないでください!」

瞳子と初めて会った時は、クールで大人ぶっていた直斗が、今では顔を真っ赤にし、取り乱している。
そんな直斗がおかしくて、瞳子はくすくすと笑う。

彼女にそんな表情をさせる電話の相手に、ちょっとだけ妬けた。

END
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