garbage box

□独占欲
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瀬多が大学入学を期に一人暮らしを始めてから、直斗は時々彼のマンションに泊まりにくる。

高校生という身でありながら、優秀な探偵として活躍している彼女は、依頼があれば色んな地へ赴く。
それが終われば、必ず瀬多の元を訪ねてから八十稲羽へ戻る。

瀬多からもらった合鍵で部屋に入る。
一人暮らしをするには大分広い部屋。
元々、この部屋は、瀬多が直斗と一緒に暮らすために借りたもので、几帳面な彼らしく部屋は綺麗にされていた。

直斗が泊まりにくる度に彼の部屋には、彼女の私物が増えていく。
それは、歯ブラシやパジャマなどのお泊りセットから直斗が愛読している本や彼女が作った
探偵グッズなど。

最初は、直斗がいつ泊まりにきてもいいように瀬多が彼女の為に色々用意してくれて、直斗も荷物はできるだけ少ない方が良いと思い、お泊りに必要な物をそろえ、それを彼の部屋に置いていくようにした。

直斗が私物を置くようになった理由は、それだけではない。

恋人である瀬多はもてる。
彼が浮気するとは思いたくないが、それでも不安だった。
だから、直斗が私物を置くようになったのは、女除けの為であり、瀬多が直斗の存在を忘れないようにする為でもあった。

自分がこんなにも独占欲が強かったとは、彼に恋するまで直斗は気づかなかった。

今度は、何を置いていこうかな。

僕をこんな女にした責任をとってくださいね、先輩。

END
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