garbage box

□匂い
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ドアを開けると部屋は外に負けないぐらいの熱気が漂っていた。

「おかえりなさい、総司さん。すみません、冷房の効きが今日悪くて、さっき火を止めましたから、しばらくしたら涼しくなると思います」
「え、あ、ああ…」

部屋の熱さにも驚いたが、それ以上に直斗の恰好に驚く。

キャミソールとショートパンツにその上からシンプルな青いエプロンを着用していて、腰まで伸びた長い髪はシュシュで縛られている。

恋人である俺の前でも露出のある恰好をしない直斗にしては珍しい。
俺の視線がどこに向けられているのかそれに気づいた直斗は顔を赤らめ、両腕で自分の体を抱きしめる。

「す、すみません!今日、とても暑かったので…あの食事はもうできていますので、先に食べてて下さい。僕、着替えてきます!」
「…直斗」

俺は直斗の腕をとると後ろから彼女の体を抱きしめた。
白いうなじが目に入り口づけると直斗の体がビクッと反応した。

「あ、だ、だめです…」

エプロンの布越しから彼女の大きな胸を揉みしだく。

「ご、ご飯冷めちゃいますよ…やっ」
「…直斗を先に食べたい」
「で、でも、僕の体…汗いっぱいかいているから…匂いとか」
「俺は気にしないよ、直斗の体臭好きだから…あっ、むしろ俺の方が汗くさいかも…直斗が嫌ならやめるけど…」

直斗の体を離し、自分の腕を嗅いでみる。
すると背をむけていた直斗が振り返り、腕を俺の首に回し、くんくんと匂いを嗅いできた。

「な、直斗…」
「ぼ、僕も…貴方の体臭が好きです。だから、その…やめないで下さい」

そう言うと直斗はぴったりと体をくっつけてきた。

「ごめん、直斗もう我慢できない」
「あっ…」

床の上に彼女を寝かせると俺は上着を脱ぎ、体を重ねた。

事が終わった頃には部屋の熱気はなくなり、涼しい風が肌に当たる。

「大丈夫?寒くない?」

寒いのが苦手な直斗の細い体を抱き寄せる。
お互い裸のままだ。

「総司さんがこうやって抱きしめてくれるから平気です。貴方の体とても熱いからちょうど良いです」

そんな可愛い事を言う直斗に再び欲が出そうになったが、どうにか思いとどまる。

「ねぇ、総司さん知っていますか?この間本で読んだんですけど…″体臭″でお互いの相性ってわかるんですって」
「ああ…聞いたことがあるなぁ。もし、それが本当なら…俺たち相性が良いって事だよね」

さっきお互いの体臭が好きって言ったから。

「そ、そうですね…だから、その…嬉しかったです。貴方が僕の匂いを好きだと言ってくれて…」
「うん、俺も嬉しかった。…お風呂はもう少し後でもいいかな?もっと直斗の匂いを嗅いでいたい」
「ぼ、わ、私も…もう少しだけ貴方の匂いと体温に包まれていたいです」

首筋あたりに顔を持っていき匂いを嗅げば、くすぐったそうに直斗は体をよじらせた。

END
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