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□Summer vacation
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クラブ エスカペイド

「そういえば、ここで天城とりせとクマが場酔いして、王様ゲームをして大変だったよな」
「ありましたね…あの時は、本当になんなんだこのバカ軍団は…と呆れていましたけど…今となっては笑い話になっているから不思議です。…あの王様ゲームで
天城先輩が抱き着いたり、久慈川さんを膝枕したり、里中先輩を肩車したりと…先輩はとても良い思いをしていましたよね」

あの時は、なんとも思わなかったけど…彼と恋人になったからか、あの時の王様ゲームを思い出すと嫌な気持ちになる。

「い、いや…あれは」
「…今度また同じような状況になったら、先輩にそんな事させないように僕が守りますから!」
「あ、うん…ありがとう。抱きついていいのは直斗だけ、膝枕も、肩車も直斗にしかやらないからと言って俺も断るから安心して」
「いえ…肩車は結構です」

エスカペイドで適当に夕食をすました後、マンションに戻り、部屋に入るなり先輩が僕を後ろから抱きしめた。

「せ、先輩!?」
「…ちょっと酔ったかも」
「酔ったって…場酔いですか?」

あの店はアルコールを扱っていないし、僕も先輩もソフトドリンクしか口にしていないので、酔うという事はありえない。

「うん…ああいう俗ぽい所に行くと危ないな」
「せん…んんっ!」

後ろを振り向くとキスをされた。
今朝したような唇が触れるだけのキスじゃなくて、ねっとりしたキス。
彼の舌が僕の口の中に入ってくる。少し苦しいけど、嫌悪感はない。


「ふっ、んん!」
「はぁ、何度直斗にキスをしたいと思ったか…直斗、いい?」

それはその先の行為をやっても良いかという…彼からのお誘い。
こんな熱のこもった目で見つめられたら…いくら鈍感な僕でもわかる。

「は、い…僕を抱いて」

彼に抱き着いてキスをすると、そのままベッドに引っ張っていかれて、勢いよく押し倒された。

…僕も酔っているのかな。今夜は先輩のぬくもりを感じたかった。
ううん、今夜だけじゃなくて…ずっと彼の温もりを感じていたい。
久々だからかな…いつもは僕の体を気遣いながら優しく抱いてくる彼が、この日はそんな余裕もない位に激しく抱いてきた。
最初は、そんな彼に戸惑ったけど…何度も触れられていく内に体が熱を帯びて、彼に答えるかのように僕も激しく彼を求めた。

「…直斗、好きだよ」

行為が終わったら、先輩は僕の髪を撫でながら、必ずこの言葉を僕にくれる。
彼のこういう優しいところは、変わっていないな。
それが嬉しくて、心地良くて…。

「好き、せんぱい」

彼の腕の中で僕はゆっくりと眠りに落ちた。


それからは、勉強をしたり、家事をしたり、ポートアイランド駅の近くにある『スクリーンショット』でミステリー映画を見たり、
ポロニアンモールでショッピングをしたりと楽しく過ごした。

桐条さん達に連絡をしたのだけど、桐条さんと真田さん、アイギスさんは、あいにく仕事で今は海外にいて、しばらく日本に戻れないらしい。

「君達に会えないのは非常に残念だ。今度また、辰巳ポートアイランドに来る予定があったら連絡してくれ。その時は、屋久島にある桐条家の別荘に招待するよ。
もちろん、君達の大事な仲間達も一緒に来てくれると嬉しい」

夏休みに入っても、相変わらず忙しいらしい。
会えないのは残念だけど、仕事なら仕方がない。
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