P4(short)


□ずるい人
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「別に気にする事ないと思うけど……むしろ、直斗は痩せすぎ。もう少しふっくらしても大丈夫だよ」
「嫌だよ、そんな事言わないでよ。また、太りそうで怖い。……よし、決めた!僕、ダイエットする!」

先輩の目から見て、少しふくよかになったらしい胸が元のサイズに戻るのは惜しいけど……でも、太るよりはマシだよ!

「だから、先輩!僕、食事するのやめるから!」
そもそも、僕たちシャドウは食事をしなくても生きていける。
本体の影響のせいか、シャドウなのに人間のように普通に食事をする先輩がおかしいのだ。

「……俺、嫌だな」
「えっ?」
「俺の作った料理を美味しそうに食べてくれる直斗の笑顔が見れなくなるのが嫌だな。俺……直斗のあの笑顔が一番好きだから……」
「!?」

先輩の言葉に、さっきの決心が揺らいだ。
だって、好きな人にそんな事言われたら僕は……。

「……やっぱり、先輩はずるい」
「?」
「食事するのやめるなんて、もう言わないから……」
「直斗?」
「やっぱり僕は、先輩の料理と先輩と一緒に食事する時間が大好きだから。その代わり、いっぱい運動するから先輩、付き合ってくれる?」
「あぁ、勿論!」
ぱっと笑顔になって僕を抱きしめる先輩。

ホント彼はずるい。
そうやって、僕の心をつかんでいくから。

END
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