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□貴方だけのメイド
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「直斗君の代わりに私が先輩を接待するね!私のメイド姿に、先輩がメロメロになってしまうかもしれないけど……直斗君がそれでもいいなら、りせちー頑張っちゃおうかな」
「!?」

こ、これは久慈川さんの作戦だ。どうにかして、僕にメイド服を着させようとする作戦。僕が先輩に弱いことや先輩の名前を出せば、僕がそれに逆らえない事を熟知している。
だまされない。

……でも
メイド服を着ていない僕を見て、がっかりする先輩。
メイド服を着た久慈川さん又は、他の女子生徒に接待されている先輩の姿を想像してしまい、僕は複雑な気持ちになった。
メイド服を着るのは嫌だけど、先輩が僕以外の女の子の接待を受けて、喜んでいる姿を見るのはもっと嫌だ!!

「……ます」
「えっ?」
「〜〜っ!着ますよ!着ればいいんでしょメイド服!!」
「本当、直斗君!?」

久慈川さんの顔がさっきよりも、ぱっと明るくなった。
あぁ……結局、僕は久慈川さんの罠にいつもひっかかるのだ。

「い、言っときますけど、別に僕は、君や先輩の為に着るのではなく、せっかく作ってくれた巽君の努力を無駄にしない為に、僕だけ着用しないのも、他の女子の皆さんに申し訳ないから着るんです!!」

久慈川さんの作戦通りに事が進んだ事が面白くなくて、精一杯の言い訳をしつつ、メイド服を着る覚悟を決めた。
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