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髪を伸ばした理由(主←直)

「ねぇ、瀬多先輩と天城先輩って、付き合っているのかな?」
「もし、そうなら美男美女でお似合いだよね!」

校門の前いる瀬多先輩と天城先輩の姿を見つけ、声をかけようとした時、先程の女子生徒の会話が聞こえ僕は立ち止まった。

かっこよくて、いつも穏やかな笑顔が印象的な瀬多先輩。
美人でスタイルがよく、お淑やかな天城先輩。

本当に絵になる二人だ。

先輩もやっぱり……天城先輩のような女性らしい人が好きなのかな。
ずきっと胸が痛み、その日二人に声をかける事ができなかった。

鏡に映る自分の顔を見ながら、自分と彼女の違いを考える。

癖のないまっすぐな長い黒髪
シミ一つない雪のように白い肌
香水ともシャンプーとも違う、落ち着いた甘い花の香り
私服も女性らしく清楚で、僕とは真逆。

それでも、僕は瀬多先輩が好き。
今はまだ女の子らしい服装をするのも、
女の子らしい言葉遣いも無理だけど……。

せめて、髪だけは伸ばしてみようかな。少しは、女の子らしく見えて彼の隣に立ってもお似合いって言われるかな。

今度、久慈川さんに髪のお手入れの仕方とか教えてもらおう。

END
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