P4(short)


□拍手ログ
3ページ/20ページ

お守り(主直)

「すごいなぁ。これ、全部陽介達から?」
「はい」

瀬多が通っている大学を受験する為に、直斗は、彼のアパートに来ていた。
彼女のトランクの中には、参考書や着替えと一緒に合格祈願と記載されたお菓子と小さな箱が入っていた。
箱の中には、辰姫神社と書かれた赤いお守り、小さなリング、キツネのあみぐるみが入っていた。

「辰姫神社のお守りは、里中先輩と天城先輩からで、お菓子は、花村先輩とクマ君からです。
これは、願いが叶うといわれているピンキーリングです。久慈川さんとお揃いなんです。それと、このキツネのぬいぐるみは、巽君からです」

一つ一つそれを手にとって、説明する直斗は、受験前とは思えないほど、表情は晴れやかだ。

「じゃあ、俺も直斗に……」
「えっ?」

手渡されたのは、青いシャープペンシル。

「安物だけど、受験とかテストの時、このペンを使って勉強したら、必ず良い結果が出たから、お守り代わりにこれを直斗にあげる」
「い、いいんですか!?先輩の大切なお守りなんじゃ……」
「うん、だからこそ直斗にあげたいんだ。お守りだとかぶりそうだから、どうしようか悩んだんだけど、そっちの方がよかったかな?」
「いいえ、これがいいです!学年トップの先輩が使っているペンなら、ものすごくご利益がありそうですね」
「ただの普通のペンだけど、直斗がそこまで喜んでくれて嬉しいよ」
「先輩がくれるものでしたら、何でも嬉しいです!」

なんてことない普通のペンでも、僕にとってそれは、何よりも強いお守り。

END
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ