P4(short)
□Timeless Sleep
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「……キミが羨ましいよ。ロボットだからという理由で、周りの人間から奇異な目で見られる事なく、ずっと彼らと一緒に過ごせるから……」
私の言葉を聞いて、創世が少し乱暴に私の頭を撫でる。
「っ……痛いよ!このバカロボット、サイテー、髪乱れるから!!」
「……俺は、お前とクマが羨ましいけどな……」
「はぁ!?」
「感情はあっても、泣く事まではできないからな……」
「!?」
創世に言われて気付いた。
私は……自分がまだ泣いていなかった事に……。
「愛が言っていた。好きな奴がいなくなって、悲しいのに涙が出ない事がつらいってな……」
「ずっと一緒にいてくれた奴ともう二度と会えないってつらいよな。何度体験してもこればっかりは、慣れねぇ……慣れたくもないけどな……」
「人間じゃねぇ俺達は、これから、どんどん大事な奴らとの別れを体験するんだ。だから……泣けない俺と愛の代わりにお前とクマだけは、思いっきり泣け……」
今頃、もう目覚める事のない彼とご対面して泣いているであろうクマ毛の姿が目に浮かぶ。
「……このカッコつけ!!」
「あぁ!?って……おい!」
「うっさい!こっち見るな!」
創世の言葉を聞いて、今まで出なかった涙が溢れ出た。
「……行ってくるよ」
「ったく、行かないんじゃなかったのか?」
「泣いたら、急に彼の顔が見たくなったから、ちゃんとお別れ言ってくる。久々に皆とも会いたいし、クマ毛と一緒にキミと妹の分まで、いっぱい泣いてくるよ……」
そう言うと、私は、彼と仲間たちがいる葬儀会場へ足を踏み入れた。
ねぇ、キミは生まれ変わりって信じる?
もし、それが本当にあるのなら、私はまたキミに会いたいよ。
さようなら。
そして、また、キミに会えますように。
END