裏部屋
□流すこと全て
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ギシ…ギシ…ギシ…
床が軋む音が
月明かりに照らされる米沢城内に響いてる。
あと…もう少し。
「梵…」
ぽつりと呟くがそれは誰の耳にも入らない。
皆寝てるし、当たり前なんだけどねー。
俺は血まみれの刀を握りしめ、梵が居る部屋に入る。
目の前の美しい竜は
寝息をたててすっかり爆睡状態。
あぁ、
この可愛らしい顔を屈辱の顔にしてあげたい。
『ん…。』
俺の気配に気付いたのか、うっすらと目を開ける。
さすが奥州の覇者。爆睡してても人の気配には気付くんだね
なんて少し感心する。
『成実…?』
透き通った独眼をこちらに向ける。
「ゴメンね、こんな真夜中に起こして。」
『何してんだ?』
梵は不思議そうに俺を見る。
「最近、俺を戦に連れてってないよね?」
『え…』
「俺ね、ずっと寂しかったんだ。梵には小十郎だけでいいのかなって。」
『そんなわけ「だから、邪魔物は全て流した。」
『流した?』
また梵は不思議そうに俺を見る。
と同時に梵の顔からは恐怖心が見えた。