裏部屋
□流すこと全て
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『小十郎に何をした…?』
さっきの寝ぼけ眼とは打って変わって俺を睨みつける。
「そんな睨まなくてもいいじゃん。」
『その刀は何なんだよ!!』
今更血まみれの刀に気付く梵。
「梵の事はこんな風にしないよ。でも、これでずっと一緒だね♪」
そう言って俺は梵の腕に刀を突き刺す。
『…っ!』
声にならない悲鳴が、梵の顔からは想定できる。
ぐちゅぐちゅと刀を回してみれば独眼竜は更に呻く。
『もう…やめ…あ"あ"ぁ!!!』
「少し黙りなよ。ほら、腕を捕まえれば後は俺の物だよ。
俺は梵が大好きなんだよ、愛してるんだよ。」
『んなもんっ…知らねぇ…ぐっ…!』
「なのに何で…」
――気付いてくれないの
その一言は声に出さず、心の中にしまう。
俺は刀を引き抜き、今度は左足に突き刺す。
腕からはドクドクと血が流れる。
『あ"…ぁ』
梵の目は、もう虚ろになり
いつもの透き通った目とは違い、濁っている。
まぁ、俺が汚したんだけどね。
「次は何処にしようか。右目にしようか?」
そう言葉を発すると、梵は怯える目で俺を見た。
「大丈夫。俺が梵の全てを愛してあげる。受け止めてアゲル。」
『もう…やめ…ろ…ぐあ"ああぁぁ!!!!』
「やめない。梵から流れる血は美しいね…右目を任された奴よりも。」
『It's crazy…あ、が…!!!!』
俺は次に腸の辺りを突き刺す。
「大好きだよ。梵が流すもの全て…涙も、血も、ぜーんぶね♪」
そう言って
また悲鳴をあげる梵の血を
うっとりと眺めた。