なんということでしょう。

□3:将来の夢はお嫁さん!!
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さて、問題です。


何故、私は今三年生の校舎にいるのでしょう?

兄と私のお弁当が反対になっていたから。

では、何故兄は三年二組の教室にいないのでしょう?

普段通り屋上で友達と弁当を食べようとしているから。

その兄の友達とは?




変態野郎共じゃねぇかよぉぉぉおお!!!




弁当を投げ捨てたい衝動を抑えて、その場で足踏みをする。
多分、周りから見たらただの変質者なんだろうな。


嫌だ。嫌だ。
行きたくない。てか会いたくない。
しかし、そうでもしないと兄に弁当を渡せない。

私に弁当を届けない。
という選択肢はない。

だって、このまま知らないふりを帰ったら、私の命が危ないから。
食べ物関連の兄の執着は恐ろしい。
昔、勝手に兄のプリンを食べて、とても怖い思いをしたことがある。
それから一週間は生きた心地がしなかった。

あんな恐怖は二度と味わいたくない。


しかし、兄の友達とも会いたくない。

私に、はっちゃんという幼馴染みがいるように、兄にも小学校からの馴染みの友達が五人いる。

私は小学校、中学校そして、高校と全て兄と同じだということもあり、
少なからず彼等との交流があった。

流石、あの兄の友達というだけのこともあり、みんな個性豊かな人達である。
ていうか豊か過ぎる。


小学校の時、彼等に散々な目に遭わされていたので中学校に入学してから極力避けていたのに。


なんで、このタイミングなんだよぉぉぉおおおお!!!


くそっ!!!何がなんでも無理矢理、三郎連れてくればよかった!!!

『は?三年生の校舎?嫌だ。一人で行けよ、まぁお前が胸を((ry』

とか言われて大人しく諦めなきゃよかった。




「・・・・行くしかないか」

まだ死にたくないし。
ただ弁当だけ渡して風の如く去れば良いだけだし。
顔を伏せて行けばいいんだ。うん。


やっとの思いで決心して屋上へ向かうことにした。
はたして、無事に帰還することはできるのだろうか。
多少の不安を胸に抱いて重い足を進めた。








「やっぱり無理!!!!!」

屋上のドアの目の前まで来て、あと一歩が進めない。
思い浮かぶ過去の記憶。

私の体がここに入ることを拒んでいる!!!

これは自分の体に正直に従ったほうがいいのでは・・・?

そう感じて、来た道を戻ろうとした。


「ん?・・・・雛じゃないか?」


お、オワターーーー!!!


しかもこの声は、立花仙蔵やないかーい!!
かなり会っちゃイケナイ人物だよ!?


「ひ、人違いじゃないですかね・・・?私の名前は山田花子です」


まだ顔は見られていないはず。
ならば一目散に逃げるべし!!!


「待て。お前絶対雛だろ」


急に腕を掴まれて身動き出来なくなる。

や、ヤバい。
死亡フラグが立ってる、だと?


「あ、あの本当に人違いなんで」

「今すぐ、その見えすいた嘘を止めないと今この場で犯すぞ」
「はいはいはい!!!!!何を隠そう!!私こそが七松小平太の妹、七松雛です!!!」


あ、暴露してしまった。しかも、自分から。
くるりと恐る恐る後ろに振り替えると


「そうか。久しぶりだな雛」


満円の笑みの立花仙蔵が立っていた。
私の腕を掴んだまま屋上へ入る。


「あ、あの立花先輩?私弁当を渡しに来ただけなんで、お兄ちゃんを呼んで下さい」

「おーい、お前ら雛が来たぞー!!!」


ば、そんな大きい声で呼ばなくていい!!てか呼ばないで!!!
私が用があるのは兄だけなんだよ!!!


「雛っーーーーー!!!」


ほら!!!皆来ちゃったよ!!!


「雛、久しぶりだな!!!」
「・・・・お久しぶりです。食満先輩」


顔を覆いたくなるほどの輝いた笑顔で突進してきたのは食満留三郎先輩。


「馬鹿野郎!!!食満先輩なんて他人行儀な呼び方は止めろよ!!!
ーー昔みたいに留お兄ちゃんって呼んでくれよ!!!」


頬を赤くしてか興奮気味に話し掛けてくる食満先輩に若干引く。
かなり引く。


「雛ちゃん!!!二ヶ月と十日三時間二十三分ぶりだね!!!元気だった!?」
「記憶力半端ないですね。伊作先輩」

こ、怖い。
伊作先輩ってこんな人だったけ?
なんか優しい保健委員長だったような。


「ーーーところで雛ちゃん、保健委員で包帯を切らしちゃってね」
「そうですか。それは大変ですね」
「うん。だからね雛ちゃんの下着を貰えるかな?あ、使い古したやつ」
「何故!?」


うん。こんな人だったわ。


「おい、雛久しぶ「長次先輩、お久しぶりです」「ん」

「おい!!!何、あからさまに無視してんだ!!!」

「あ、COA先輩じゃないですか」
「発音!!!発音違う!!!」

なんか、どこかでなにかがギンギン鳴いてるな。あ、蝉かな。


「おい、全部聞こえてんぞコラ」


「雛ー!!!」
「お兄ちゃん!!!お弁当!!!」
「おー!!!なんか弁当が小さいと思ったら雛のだったのか!!!ありがとうな!!」
「もう、これからは気を付けてね。じゃあ私は教室に帰っ」

弁当を渡して直ちにこの場を離れようとしたが


「待て」

「な、何ですか、立花先輩」
「久しぶりの再会じゃないか。もう少しゆっくりしていけ」
「え、でも私、そろそろ」
「ゆっくりしていけ」
「・・・はい」

なんで私は昔からこの人に逆らえないんだろう。

「こうやって七人で集まるのは久しぶりだな!!!」
「・・・小さい頃の雛は、可愛かった」
「だよな!!!長次!!!お兄ちゃんって俺らの後を走って追いかけてきて!!!小学生雛マジ天使!!!ま、今も可愛いけどな!!!」
「留三郎、鼻血でてる」


これはなんの罰ゲームですか?
今すぐこの場から消えたい。消え失せてしまいたい。


「幼稚園の時なんて小平太と離れるのが嫌で泣いてたもんね。あの頃から雛ちゃんを宥めるのは僕の役目だったもんね」
「大きくなったら小平太のお嫁さんになるーーだもんなぁ?雛?」
「ギンギン殺すぞ」
「俺、先輩ですよ!?」


ギンギン野郎、いつか絶対殺す。
いつの話引っ張りだしてんだ。


「え?(胸が)大きくなったら雛は私のお嫁さんになるんだろ?」
「法律的に無理だから!!!」
「小平太、馬鹿野郎!!!貧乳はステータスだろ!!!それに雛は(未来の)俺の嫁だもんな!!!」

貧乳って!!!そんなはっきりと言うなや!!!しかも勝手に嫁にするな!


「違うよー留三郎、雛ちゃんは僕と結婚するんだよ。昔、約束したもんねーーー忘れてなんかいないよね?」

え、そんな約束してませんけど!?
てか怖い!!!なんで今、注射器もってんの!?


「まぁ、雛がどうしてもって言うなら俺が「ギンギンは黙ってろ」


ギンギンのくせに私を嫁にするなんて100万年早いんだよ!!!
てかなんで長次先輩笑ってんの!?超怖いんですけど!?


「こんなに将来の約束をしている相手がいるとは。お前も案外悪い女だな。ーー結局のところどうなんだ?誰がお前の未来の夫になるんだ?」


ーー勿論、私だろう?
そう言って私を見つめる立花先輩。
その場、全員の視線が私に集まる。

うん。私、今この視線だけで死ねるわ。

下手な答えを出したら私の明日は来ないな。








「・・・・わ、私、はっちゃんのお嫁さんになろうかなーーなんて」














(ーーよし、皆で今から竹谷の所へ行こう)
(ーー竹谷、殺す)
(丁度今、新薬を試したかったんだよね)
(今日は誰かを殺りたい気分だな!!!)


(はっちゃん逃げて!!!超逃げて!!!)

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