君と見た花の名

□赤に咲いた花
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船が燃え、海に落ちたとき、船に乗っていた者たちは私を助けず倭国へと帰ってしまった。


嗚呼、やはり人は嫌いだ。


他人を平気で傷つけ、見知らぬふりをする。


まるで最初から何も見ていないとでも云うかのように。




私はここで死ぬのか。


何もない、だだっ広い海の真ん中で。


たった独りで暗い海の底へと沈んで行くのか。


諦めかけていたそのときだった。



ーーーーー「まったく哀れですね」



私は生きることができたのだ。
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